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猿の夢
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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猿の夢-3

その後、僕は何度もエリカの携帯を鳴らしましたが電源を切っているのかつながりませんでした。

僕の脳裏に、最後に見たエリカの姿が何度もよぎりました。
あの夜はいつもより露出度の高いファッションをしていました。体にぴったりと張り付くような胸の谷間が見えるほどの黒のニットに、小麦色の最高の太股と大きめのヒップを強調するデニムのホットパンツにブーツサンダル。そこに、粘りつくような変質者めいた視線を這わせていた古田のあのいやらしい猿のような顔が重なっていきました。
「・・・木村くん、マサコとつきあってるんでしょう?・・・」
言いながら、僕に見せつけるように中年男とねっとりとディープキスを交わすエリカ。
「・・・ああ、このカラダ・・・たまんらんわあ・・・」
黒いニットのうえからバストを揉みたて耳元で熱っぽく囁いてくる古田に身を任せて僕を冷ややかにみつめながら悩ましげな甘い媚声をもらすエリカ・・・。
・・・自分の妄想にうなされて、その夜は朝方まで眠れませんでした。

ようやく連絡がついたのはエリカではなくマサコのほうでした。
「エリカならウチに泊まってさっき帰ったけど・・・。木村くんちょっとひどくない?」
酔いつぶれたマサコを置いて帰った僕を電話口で責める声が遠くに感じました。
安堵感で腰から力が抜けそうになりながら、僕は曖昧に応対して電話を切りました。
(そうだよな・・・あんなオヤジにエリカがなびくはずないよな・・・)

僕は急に元気を取り戻して、月曜の夜あらためてエリカに連絡してみました。
しかしやはり、電源は切られたままつながりません。火曜になってもつながらず、ついに水曜になり、僕の中にまた不安の黒い雲が湧き上がってきました。思い悩んだ末、マサコにもう一度連絡してみることにしました。マサコは僕の気持ちがエリカにあることを知ってどうでもよくなったのか、先日とくらべてサバサバとした口調で話しました。

「・・・エリカね・・・古田さんと3日間、温泉に行ってたんだって。」
それを聞いたとき、僕は一瞬その意味がわかりませんでした。
(あのオヤジと・・・温泉・・・?)
「エリカと古田さん、つきあってるよ。」
茫然自失して黙り込む僕に追い討ちをかけるように、マサコが話しはじめました。

エリカは古田の熱烈なアプローチに根負けしたのだというのです。
今まで浮気性の彼氏とつきあっていたこともあり、自分だけを愛してくれる男を探していたエリカにとって、狂ったように自分をもとめてくる中年男の情熱にしだいにほだされていったらしいのです。
「・・まさか・・嘘だろ?・・おれに当てつけるためにそんなこと言ってんだろう?」
僕は電話口でまくしたてましたがマサコは笑って取り合いませんでした。
「しかもね・・・エリカいわく・・古田さんてヘンタイで、セックスすごいらしいよ!」
それを聞いたとき、僕は目の前が真っ赤に染まっていくような錯覚を覚えました。
「最初は1泊のつもりだったんだけど古田さんがどうしても離してくれないって電話かけてきてさ。いかされまくっておかしくなりそう、とか言ってんの。・・すごくない?」
僕は脱力感のあまり怒りや嫉妬を通り越して、もう笑うしかありませんでした。
「・・・エ、エリカってオヤジ好きだったっけ?・・・そんなにすごいんだあ?」
自分の声が異常なほど甲高くなっているのが分かりました。
「最初はあんなオヤジ絶対やだとか言ってたのにね。
 電話かけてきたときはもう、とろけそうな声出してたよ。
 今まででいちばん感じた、とか言ってさあ!
 いいなー、エリカ・・・
 私も素敵なおじさまにおかしくなるくらい責められてみたいわあ・・・」

マサコによるとエリカはもともと年上の男が嫌いではなく、温泉宿という日常とは隔絶した空間で3日間ものあいだ中年男のねっとりとしたセックスでからだの芯から燃え上がらせられ、お互いにもう離れられないことを確かめあったのだというのです。
「だからエリカのことはもう、あきらめたほうがいいよ!」
そう言ってマサコはあっさりと電話を切りました。
僕はその場にへたり込んだまま、しばらく起き上がることができませんでした。



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