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真っ赤なリース
【スポーツ 官能小説】

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第3章 刑事魂-7

「お待ちしてましたよ、美弥妃さん。」
金髪の男、澤田謙也がニコッと笑う。
「小森さんは?」
店の中を見渡す美弥妃。店の奥からサラリーマン風の男の小森龍彦が現れた。
「お疲れのところ、申し訳ない。」
手を差し出して握手を交わす。
「このお店、いつ開店できるの?こんなんじゃ暫く無理じゃない?」
改装中と言うよりももはや直す気がないように感じる。改装している様子が全く見受けられないのだ。田舎に一軒しかないキャバクラ…、そんな印象だ。

「実はもう店を畳もうと思いましてね。オーナーが東京に新しい店を今造っているところなので、ここを離れてそっちに移ろうかと。」
「そのお店に私をスカウトしたいって話よね?オーナー?♪」
オーナーとは小森龍彦だ。
「ええ。美弥妃さんの噂を聞きましてさっきお店にお伺いした次第です。」
「フフフ、引き抜き?よくいるわ?お客を装って引き抜きに来る人。まー殆どがこの界隈のキャバクラだけどね。でもさー、何でわざわざ地域ナンバー1の店のナンバー1キャストが2番目3番目のお店に行かなきゃならないのよねー?馬鹿じゃんて感じ。私さー、最近思ってたのよ。私はこんな田舎じゃなくてもっと大きな街で働くべきキャバ嬢なんじゃないかって。結局は田舎の大将じゃない。」
小森はニコッと笑う。
「僕もそう思いますよ?今造ってる店は銀座の一等地です。だから僕は全国を回って相応しい女性をスカウトしてるんです。そんな時に澤田からここに物凄いキャストがいると聞いて駆けつけた訳です。実際に会って美弥妃さんこそ日本で1番のキャバクラ店を目指す新店舗に相応しい人だと確信しました。僕と一緒に日本で1番の店、1番のキャストになりましょう。是非ともうちに来て欲しい。」
美弥妃は熱心に誘う澤田に満足げな表情を浮かべた。
「私も一応名の通ったキャストなんだけど、今のお店からあなたのお店に移るメリットを感じなきゃねぇ…。」
その言葉に小森はニヤッと笑いアタッシュケースを机の上に置いた。
「あなたの魅力には相応しいかどうか分かりませんが、最低このぐらいの価値はある女性だと思ってます。」
そう言ってアタッシュケースを開ける。
「…」
美弥妃の目に札束が映る。顔から笑みが消えた。
「契約料として、まず1億。それに三本木ヒルズのマンションを提供します。」
ほ、本当!?と叫びそうになったがグッと堪えた。
「ま、まぁ妥当かしら…ね…。」
片田舎でプレゼントされる規模を遥かに凌ぐ条件に激しく動揺する。まるで野球のドラフト1位指名を受けたかのような気持ちであった。自分の価値が一気に上がったようで体が宙に舞いそうなぐらいの喜びを感じる。そんな美弥妃を見ながら小森はアタッシュケースを閉じた。
「これでご不満なら残念ですが、諦めます。」
本当はもう少し焦らして金を増やさせようと思っていた美弥妃に釘を刺すかのように言った小森に美弥妃は動揺を抑えながら言った。
「いいわよ、それで。後は働きに応じた評価をいただければ。」
小森は満面の笑みを浮かべて礼をする。
「ありがとうございます。」
と。舞い上がる気持ちを必死で抑えるかのように落ち着かない美弥妃を澤田は卑下するかのような目つきで見つめていた。


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