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真っ赤なリース
【スポーツ 官能小説】

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第3章 刑事魂-5

サラリーマン風の男は店をチェックしている素振りをしながら周囲をあからさまに気にしていた。朱音は姿を見られぬよう細心の注意を払って尾行する。すると今度は地域一番の人気店、プロミスムーンに入って行った。
(よほどオンナ遊びが好きみたいね。)
半ば呆れたような顔をしながら男が出てくるのを待つ。約1時間後に男は綺麗なキャストに見送られて店を後にした。

そして20分程街を徘徊するように歩いていたサラリーマン風の男は何と先程朱音がマークしていた締め切りのキャバクラ店のビルの階段を上がって行ったのであった。

(こんな偶然、ないわよね。偶然も重なれば必然。あの男、怪しいわね…。)
こういう時、大抵犯人を捕まえて来た。その積み重ねが自分の読みに確信を強めて来た。今回もきっとあのサラリーマン風の男が事件に何らかの関わりがある、そう確信した。朱音はビルの裏手に回ると三回の居住区らしき部屋に明かりがついた。あの男はきっとここで暮らしているのだろう。1階のキャバクラ店との関わりを探る。

朱音はビルの階段の手前にある郵便受けを見た。名前は書いてなかった。細心の注意を払い郵便受けを開けて郵便物を見る。
「澤田謙也か…」
宛名からあのサラリーマンは澤田謙也と言うらしい。
「身元を…」
そう言ってスマホに手をかけたが、やめた。あくまでこれは正式な捜査ではないからだ。こんな時は仲間がいた方がいいなとも思うが周りの刑事には敵しか作っていない。朱音は大きく溜息をついた。
(こういう時、一匹狼はつらいわね…)
唯一相談できそうなのは島田だが勝手な捜査に巻き込み迷惑はかけられない。もういっそのこと乗り込んでしまった方がなんぼかマシな気持ちであった。

すると上から階段わ降りてくる足音が聞こえた為、朱音は慌てて身を隠した。そして陰からその足音の主の姿を目を凝らして見つめていた。
「あれは…」
煙草を吸いながら階段を降りて来たのはサラリーマン風の男ではなかった。しかし、知っている顔だった。朱音は頭の中でその男とサラリーマン風の男の関係を考えはじめた。朱音の知っている男とサラリーマン風の男は仲間だろうか、ただ同じビルにいるだけの間柄だろうか、親友だろうか、兄弟だろうか…様々な可能性を探った。
(…)
朱音はその男の顔を見て何か引っかかった。その答えを探りながら男の後を追った。

「よう謙ちゃん!まだ店再開できないのか?」
朱音が知る男、それは初めに桜町に聞き込みに来た時にキャバ嬢狩りの話を聞いた男だった。その男が通りを歩き始めると他店の呼び込みが姿を見て見て話しかけた。
「いやー、もう古いからなかなか直らないんスよ。もうキャストにも逃げられちゃったし頭が痛いんすよ。」
そう言った所を見るとどうやら今あの店は改装休業中みたいだ。初めに聞き込みに来た時には営業していたが、その後すぐに店を休んだのかも知れないと思うと、朱音の確信が少し揺らいだ。それなら別に電気がついていて休んでいてもおかしくはないからだ。疑わしい偶然が一つ減った事により朱音の中の事件解決に繋がる糸が一本切れたような気がした。


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