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真っ赤なリース
【スポーツ 官能小説】

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第3章 刑事魂-3

(そう言えばこのお店、ずっと閉まったままよね…。)
朱音が気付いたのは営業しているはずであるある店が張り込みをしていた間、一度も営業している様子がなかった店だ。繁華街からタクシー乗り場までこの店のビルの入り口前の廊下を通ると近道になる。客やキャバ嬢が帰る時にはこの近道を通る人間が多いのだ。1番初めに、昼間に捜査に来た時は営業はしていなかったものの、人の気配は確実にあったし、一応明かりもついている。しかしその店に入ろうとした客がドアに手をかけ開けようとするも鍵がかかっているらしく、何だよ!、と吐き捨てて去って行く姿を何度か見た。張り込みをしていた時は色々目を配り、留守かな程度にしか思わなかったが、張り込みが中止になり、それでも諦め切れなくて勤務外に足を運んで秘密で単独捜査を行っている朱音にとって今はどんな些細な事でも糸口を掴みたい気持ち、いや、焦りで一杯だ。そんな朱音の目に、ようやくその店がとまったのである?

(どうみても自動で電気やネオンがつくようには見えないわね。ちょっと監視してみようかしら…。)
朱音が周りを見渡すと、ちょうどこの店が良く見える、人気のない路地が目についた。朱音はその路地に身を潜め店を監視していた。
その店は古びた三階建てのビルだ。一階にはその店以外はなく、横に二階に上がる階段がある。二階は何かの事務所だろうか。電気はついているが人の影は見当たらない。三階は電気が消えひっそりとしている。

人の出入りもなく動きがないため、ビルの周辺を探る朱音。店の裏側は車庫になっていた。シャッターは閉まっていたが、地面にタイヤ痕がついている事からそれが分かった。三階の裏はベランダになっていた。どうやら三階は住居のようだ。真っ当な捜査ならすぐに身元を調べてもらう所だが、今は勝手に捜査している。明日自分で調べるしかない、それは理解していた。張り込みが不発に終わった事で張り込みに参加した刑事からは散々嫌味を言われた。すみませんと何回も頭を下げる屈辱を味わった。田澤課長からは苦言こそなかったが終始不機嫌そうな顔で朱音の報告を聞いた後大きな溜息をつかれた。悔しかった。朱音はその結果を受けてもまだキャバ嬢狩りが今回の事件の真相だと疑ってやまない。まだ張り込みを続けたいと主張した自分に許可は貰えなかった。自分の信じた事を志し半ばで諦める事はしたくない。朱音は通常任務をこなした後、寝る間も削って単独で桜町を張り込んでいるのであった。


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