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「ノー」
ボソッと呟く。
これが遠藤くんからのアドバイス。必ずお菓子をあげるばかりがハロウィンじゃない。
イタズラして欲しくて、ジッと彼を見れば、その威圧感がある姿のまま部屋に入ってきた。
「イタズラ……するよ?」
機械的な声が、あたしを玄関で見下ろすけれど、そのまま肯定も否定もせずに俯いた。
乱暴に靴を脱ぎ捨てて部屋の中に入ってきた筒井くんは、そのままふわりとあたしを抱き締めた。
「今日は……いっぱい可愛がってあげるよ」
筒井くんじゃない声が、まるで他人に犯されるようでゾクッとする。
下着の奥から、ジワリと蜜が溢れてくるのがハッキリわかった。
◇
「つ、筒井くん……怖いよ……」
料理を楽しむ余裕も無いまま、ベッドに雪崩れ込んだあたし達は、殺人鬼と婦警という妙なカッコ。
だけど、いつもよりハッキリ興奮しているのがわかる。
初めてしたコスプレと、初めて身につけたセクシーランジェリー。
そして、初めてされたアイマスクと頭の上でベッドに縛り付けられた状態。
今まで淡白なエッチしかして来なかった筒井くんの『イタズラ』が予想以上の展開になって、あたしは不安と、隠しきれない期待を噛み締めていた。
「すごいヤラシイカッコだね」
「つ、筒井くん……、せめてアイマスクを取って……」
「ダメだよ。亜沙美は今日、オレにいっぱいいっぱいエッチなイタズラされちゃうんだから」
「あっ」
フワリと胸の辺りを撫でられただけで変な声が出る。
視覚や身体の自由を奪われることが、こんなにも感度をよくするなんて思わなかった。
彼の手が、あたしのシャツのボタンを一つ一つ外していく。
ああ、見られちゃうんだ今日の為に買った下着を……。
「……お、このブラ……」
筒井くんのボタンを外す手が一瞬止まり、あたしは思わずゴク、と生唾を飲む。
これを見て、彼は一体どう思うだろう。