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まつりのあと
【女性向け 官能小説】

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1-8








「亜沙美って見た目派手なのに、変に奥手なんだよな。経験豊富な顔してさ」


「純粋って言ってよ」


「そうだなぁ、あの性欲薄そうな筒井と3年も付き合ってるんだから、純粋だわな」


パキッとペットボトルの蓋を開けた手が目に入り、あたしもそれに倣って自分のペットボトルの蓋を開けた。


ビルの1階は人の往来が結構あって、外からの湿った空気が流れ込んで来る。


あたし達のオフィスがある25階の空気とは明らかに違って、その湿った空気が肌に張り付くような気がした。


そんな1階エントランス。自動販売機の横にならんでいるのは、あたしと遠藤くんだ。


ちょっと下ネタが入る話を職場でするのは憚れるので、こちらに移動してきたわけである。


いろんなオフィスが混在するこのビルには、あたし達みたいなサラリーマンやOLみたいな人はもちろんだけど、作業服の人や、オシャレをした女の子、果てはベビーカーを押す主婦のような人まで出入りしていて、人間ウォッチングには事欠かない。


そんな人の流れをぼんやり眺めていると、真横でゴクゴクと喉が鳴る音が聞こえた。


横目で遠藤くんの様子をこっそり見ると、尖った喉仏が何度も上下していて、ペットボトルのお茶が半分くらい無くなった所で彼はようやくプハアッと息を吐いていた。


「ついに乗り気になったか、コスプレ」


「……乗り気になったってか。最近マンネリだからさ、変化とか取り入れた方がいいのかなって思っただけよ」


あくまでノリノリになったとは思われたくなかったから、お茶を一口飲んでから、あたしは唇を尖らせた。


すると、遠藤くんの大きな手がポン、とあたしの頭を軽く叩いた。


「あはは、ワリーワリー。言い方がストレート過ぎたか。でもさ、そうやって女の方からも積極的になるのはいいと思うぜ?」


片眉を上げて笑うその表情は柔らかくて、すごく話しやすい雰囲気を滲み出している。


軽くてチャラい彼だけど、聞き上手な所があるから、あたしは何でも話してしまうのだろう。




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