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まつりのあと
【女性向け 官能小説】

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1-1

クリスマスやバレンタインが本来の意味を為さなくなって、いつしか恋人のためのイベントになってしまったように、ハロウィンもまた、同じ道を辿るのは目に見えている。


ネットでは、『これが日本の悪い所だ』とか、『企業戦略に踊らされ過ぎ』とか叩かれまくっているらしい。


だけど、あたし的には楽しければそれでいいじゃん? と思ってる。


単なるコスプレ大会と揶揄されても、楽しそうなのは事実だし、そんなイベントを恋人と楽しく過ごしたっていいじゃない。


特に彼氏とマンネリ化しているあたしみたいな人にとって、こういう新鮮なイベントは、馴れ合いの関係に風穴を開ける、いいきっかけでもあるのだ。





彼が仕事をひと段落ついたってのは、感覚でわかる。


それでなくとも他の人も外回りや現場作業なんかでほとんど人気のないオフィス。


そんな閑散とした中で、パソコンのキーボードを叩く音やマウスをクリックする音があまり聞こえなくなっているのが、その証拠。


そのくせずっと下を向いているのは、恐らくスマホのゲームでもやっているんだろうと、横をさり気なく通れば、案の定。


「こら、就業中にゲームなんかするんじゃない」


ワザと堅い言葉で注意すると、彼の背中が大きく揺れた。


「ビックリしたぁ」


黒縁メガネがポカンと口を開けてこっちを見れば、自然に笑みがこぼれる。


「部長が会議でいないからって、サボりすぎ」


「だって、怒涛の報告書ラッシュもやっと終えたんだぞ、少しくらい休憩したっていいじゃん。タバコ吸わないからちょっと一服ってわけにもいかないし」


ちょっぴりむくれる彼を背に、あたしは戸棚からカップホルダーとインサートカップをそれぞれ二つずつ取り出した。


3時だし、コーヒーくらい出してあげよ。


少人数のこの事務所は、お茶汲みは全てセルフなのだ。


「はい、ゲームばっかりじゃなくてコーヒーでも飲みなさいよ」


「……サンキュー」


カップを渡す際に、ほんの少し指が触れ合っても、動揺なんてするわけもなく、当たり前のようにコーヒーを受け取る彼。


付き合って3年にもなれば、やっぱりマンネリ感は否めない。


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