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温泉合宿 〜 ボールは投げられた
【同性愛♀ 官能小説】

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こんなの変かな-1

 温泉から部屋に戻ってくると、もう布団が敷いてあった。本来は四人部屋なのだが、部屋割りの都合で私たちは二人きりだ。
 「さっぱりしたね、セリナちゃん。」
 「うん!ヤッパ温泉ってサイコー!生き返るぅ。」
 「セリナちゃん、ちょっとオバサン入ってるよ。」
 「なんだとー!」
 「きゃー!」
 ドタバタバタ。
 「あー疲れた。せっかく温泉でスッキリしたのに。フウカちゃん、キャッチャーのくせに足速いんだから。」
 「あら、ピッチャーよりは走り回るポジションよ。」
 窓際にある小さなテーブルとイスのセットに向かい合わせに座った。
 外はもう真っ暗だ。窓の明かりに誘われるのか、よく分からない虫が時折飛んでくる。
 「…さっきの話なんだけどさ。」
 「え?」
 「私がオバサン入ってるっていうやつ。」
 「あ、ごめ」
 「そうじゃなくてさ。こうしてる間にもみんなどんどん歳をとっていくじゃない?その延長線上にオバサンが待ってる。自分はピチピチに若くてオバサンなんて関係ないって思っているけど、それは確実にやってくる。気が付けばそれは現実になっている。」
 フウカちゃんは黙って聞いている。
 「だったらさ、やりたいことはやっておこうと思うんだ。歳をとったら出来ないことを、今、やっておきたいんだよ。たとえそれが他人からは奇妙に思えることだとしても。」
 目を閉じてじっと考えていたフウカちゃんが顔を上げた。
 「私もそう思う。こんなの変なんじゃないだろうかとか、間違ったことじゃないかとか。そんなこと考えないで、やってしまうべきなのかな、って。でもね。」
 「ん?」
 「その結果、大切なものを失ってしまわないか、取り返しのつかないことにならないか、って心配なの。怖いの。」
 「それは…。やってみないと何とも言えないね。後になってみないと。」
 「うん…。」
 私はソファーに大きく背を預けて伸びをし、足を組んだ。
 フウカちゃんの視線が一瞬私の浴衣の裾に飛んできた。私は何も言わなかった。
 「寝よっか。明日も早いし。」
 「うん、なんだか疲れちゃったし。」
 「だね。」
 私たちは交代でトイレを済ませ、並んで歯磨きし、並んで布団に入った。
 「おやすみ。また明日もよろしくね、相方。」
 「うん、おやすみなさい、私の…相方、セリナちゃん。」


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