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じゅってんさんいち
【同性愛♀ 官能小説】

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ふたりだけの ふたつずつの朝昼夜-1


 10月31日 たそがれ
 私はお姉さんと、テーマパークのハロウィンパレードを見つめていた。
 フロートに乗って進んでくる どのキャラクターたちも、パレードを見つめるたくさんの人たちも、そして私の隣にいるお姉さんも、みんな「かぼちゃ坊や」に彩られている。
 私は、ハロウィンの飾りつけの「ジャック・オ・ランタン」とか言うのを「かぼちゃ坊や」と呼んでいた。

 ピュ〜 ドドーン!

 パレードの向こうで、花火があがりはじめた。
 さまざまに色を変えてやなぎの葉や、菊や、ダリアの花のようにひろがる花火の中に、かぼちゃ坊やの顔になってひろがる花火を見たとき、私の心の中に 忘れていた涙がジワッと広がった。


 10月30日 朝
 高校二年生の私は 朝一番に学校に来て、自分の机の上に置かれたものに気づいた。
 それは私が手芸クラブでこしらえた、かぼちゃ坊やの小さなぬいぐるみだった。
 私は同級生たちのウケを狙って、手芸クラブで季節の風物をぬいぐるみにしては、教室に飾りつけていた。
 10月は当然、かぼちゃ坊やだ。
 同級生たちはみんな、可愛ええ可愛ええと言って教卓の上に飾ってくれた。
 そのかぼちゃ坊やの頭にまち針や縫い針が、まるでウニのようにびっしりと刺されて、私の机の上に置かれていたんだ。

 正直、こんなことは初めてじゃない。
 「こいのぼりうぜぇ」「七夕下手くそ!」なんてことが、付箋に書かれて私のノートなんかに貼り付けられてた。
 別にそれは気にならなかった。
 はがせば済むことだったから。
 このかぼちゃ坊やのぬいぐるみにしても、針を抜いてしまえば済むことだったんだ。

 でも私は嫌だった。
 ぬいぐるみに手を出されたのは初めてだったし、同級生の誰かが笑顔の影で、私にこんな仕打ちをしてくるのがガマン出来なくなった。

 (思い知らせてやる。そしらぬ顔してこんなことするヤツに「あんな事するんじゃなかった」なんて後悔させてやる!)

 私は針の刺されたかぼちゃ坊やをそのままにして、教室を出ていった。

 学校の裏手にやってきた。ここは切り通しになっていて、そこを鉄道の「短絡線」が通っている。
 時々特急や回送の電車が、勢いよく走り去っていく。
 私は制服の上着を脱いだ。
 電車がやってくる気配があったら、線路沿いに立てられた有刺鉄線の柵に上着をひっかけて、柵を乗り越えて線路に飛び込んでやるんだ。

 草の茂みに身を隠して、線路のようすを見ていると、
 「ねぇ、」
 声がした。驚いて横を見ると、私よりちょっと年上くらいに見える女のひとが、茂みの中に座っていた。
 「死ぬの? 死にに来たの?」
 女のひとが聞いた。私は(そっか、こんな所には見張りのひとがいるんだ)と思って、思わずうなずいてしまった。

 女のひとは私の隣に座りこんだ。

 「どうせ死ぬんなら、私といっしょに死なない?」

 


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