投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

bitter bitter sweet
【コメディ 恋愛小説】

bitter bitter sweetの最初へ bitter bitter sweet 78 bitter bitter sweet 80 bitter bitter sweetの最後へ

♥勝手に浮かんでくる男♥-8

「じゃあ、今日も打ち合わせなの?」


「……ええ、まあ」


嘘。打ち合わせなんて、そんな毎日やるわけない。


天童さん達だってヘアコンテスト以外の仕事は山ほどあるのだから。


「大変だね。里穂ちゃん、今日が誕生日なのに」


いつの間にか仮締めは終わっていたらしく、小夜さんはコインカウンターに重ねていた硬貨をレジの中へしまいながら言った。


「小夜さん……、あたしの誕生日覚えててくれてたんですか?」


「当然、去年みんなで食べに行ったお店、すごく美味しかったよね! 今年もどこか食べに誘おうと思ってたんだけど、ほら、ヘアコンテストで忙しいし、最近バイトもいっぱい入れてるみたいだから……」


「小夜さん……」


「だからさ、翔平とも話してたんだけど、コンテストが終わって落ち着いたらゆっくりお祝いしようってことにしたの! こないだ買った雑誌に載ってたお店、すごくよさげなんだよ」


小夜さんのキラキラとした笑顔に、とても胸が締め付けられるような気がした。


小夜さんは、ちゃんとあたしの誕生日を覚えててくれたのに……。


楽しそうに、そのお店の話をしている小夜さんの横顔は、とてもキラキラしていて、目を背けたくなるほど眩しかった。


きっと、彼女はお誕生日とかそういうイベントが大好きなんだろうな。


一生懸命相手が喜ぶような計画を立てて……。


ふと、パパの顔が過ぎる。


スプレンディード・ガーデン・ホテルなんて素敵なホテル、きっとその女が喜ぶと思って頑張って部屋を取ったんだろうな。


「里穂ちゃん! 大丈夫!?」


気付けば目の前に小夜さんの顔があった。しかも、視界の端には店長が慌ててフロアからカウンターの中に入ってくる姿まで。


「え……」


彼女のビックリした顔に、こちらまで驚いてしまう。


小夜さん、いきなり「大丈夫!?」なんて言われてもわけわかんないよ。


そう言おうと思った刹那、小夜さんが、


「里穂ちゃん! どうして泣いてるの!?」


と、肩を掴んでいた。






bitter bitter sweetの最初へ bitter bitter sweet 78 bitter bitter sweet 80 bitter bitter sweetの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前