第四話：鬼に狙われた母-1
中野の母を逃がした私は、自分が先輩達にどんな目に遭うかより、一人だけ姿が見えない母が気になりました。あの眼光鋭かった鬼塚先輩も、あの輪姦ショーには居なかった事を考えると、母は鬼塚先輩と一緒なのではと思い、不安で溜まりませんでした。
（一体何処に居るんだろう！？）
三階にある三年の教室には、母の姿が見えなかったとすると、後は二階の旧理科室か、旧放送室のどちらかが怪しく感じられました。私は恐怖を飲み込み、二階へと向かいました。恐る恐る二階の廊下を見てみると、薄明りに照らされた旧理科室の前に、制服姿の生徒が一人立っていました。私は直ぐこの人は見張りだろうと感じました。ここで黙って見続けても、中野の母を逃がした事を知った先輩達が、私を探しに来るかも知れず、私は意を決して、旧理科室に向かってゆっくり歩き始めました。
「ン！？誰だ、お前は？」
強面のリーゼントヘアーの先輩が、目を細めて威嚇するように私を睨みました。私は恐怖を飲み込み、中野の母を逃がした事は誤魔化しながら、先輩にこれまでの経緯を簡単に伝え、母の姿が見えないので探しに来た事を伝えました。先輩は、チラリと旧理科室を見て察したようで、小声で私に話しかけ、
「そういう事か・・・お前の母ちゃんなら、鬼塚さんが相手しているぜ。でもなぁ、お前を中に入れる事は出来ねぇなぁ」
「そ、そこを何とか・・・せめて鬼塚さんと話を」
「シッ！お前、一年で鬼塚さんの事よく知らねぇようだから教えとくが、あの人怒らせたらヤベェぞ？お前の母ちゃんだってどうなるか・・・」
「エッ！？」
私は鬼塚さんの顔を思い出し、この人はヤバイと直感した事が、正しかった事を先輩から聞かされました。怖そうだと思って居た先輩は意外と優しく、旧理科室の小窓を指さし、
「とは言え、母ちゃんが心配なお前の気持ちも分かる。いいか、声を出すなよ？そこの窓は割れているから、そこからちょっと覗いてみろ」
「は、はい・・・」
私は、先輩に促され、旧理科室の後ろの扉の小窓から中を覗き見ました・・・
部屋の中は、後ろ側は電気が消されていて、前の黒板側だけ電気が点いていました。前の黒板側を、私は目を凝らしてみてみると、実験台の上に人が座らされているようでした。
（あれが、母さんだな・・・）
私は一気に恐怖心が湧いてきましたが、一つ疑問も湧きました。
何故室内は静かなのだろうか？
母は犯されているんじゃないのか？
まさか、健二の母親のように快楽に酔い同意したのか？
それにしては静かすぎるが、まさか、殺されているとか？
疑問が頭を駆け巡ると、やはりもっと近くで母の姿を確認したい欲求が湧きあがり、思わず体重が旧理科室の扉に掛かり、物音を立ててしまいました。その瞬間、
「竹、ウルセェぞ！」
ドスの効いた低い声が飛び、私は思わず背筋がゾっとしました。竹と呼ばれたリーゼントの先輩は、少しビビり顔になりましたが、私に小声で話し掛け、
「しょうがねぇ・・・どうなるか分からないが、母親に会いたいか？」
「は、はい・・・」
「じゃあ、来い」
竹先輩は、旧理科室の後ろドアを勢いよく開けると中に入り、私に目で入って来いと告げました。私がゆっくり中に入ると、再び鬼塚先輩のドスの効いた声が室内に響き、
「竹、何だそいつは！？」
「は、はい、どうやらこの小僧、そこに居る母親のガキらしくて、探しに来たそうです」
「アァァ！？」
「す、すいません・・・」
竹先輩は鬼塚先輩に凄まれ、その場で頭を深く下げて詫びました。私を室内に入れてくれた竹先輩に、迷惑が掛かりそうだと思った私は慌てて先輩を庇い、
「ぼ、僕が無理やり先輩に頼んで・・・あ、あのぅ、その人僕のお母さんですよねぇ？」
私が恐る恐る鬼塚先輩に尋ねると、鬼塚先輩は少しイライラしたように、
「知るか！テメェで確認してみろ！！」
鬼塚先輩のドスの効いた声にビビりましたが、私は言われるまま黒板の方に歩きだすと、竹先輩は再び鬼塚先輩にお辞儀すると、慌てるように室内を出て行きました。鬼塚先輩の眼光が、私を凍てつくように睨んでくるのが分かりましたが、私はその恐怖に耐え、
「お、お母さん！？」
私が恐る恐る声を掛けると、実験台に座っていた母の身体がビクリと動き、顔をゆっくり私に向けました。母はタオルか何かで猿轡されていて、怯えたような表情をして居ました。母は嫌々をしながら、身体を私から隠そうとしますが、両腕はタオルで後ろ手に縛られて居て、身体の自由が利かないのか、巨乳が丸見えになり、ピンクのパンティ一枚の姿にされて居ました。