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bitter bitter sweet
【コメディ 恋愛小説】

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♥偏見を持つ男♥-8

「だから、それが問題なんだって!! あの客がヤバいんだよ!」


「何がどうヤバイのよ」


「だから……それは、その……」


すると、天野くんはグッと言葉を詰まらせて、視線をあっちこっちに踊らせた。


その様子を見てあたしはピンと来た。


天野くんはきっと小野寺くんとあのお客さんがオネエってことに気づいてるんだ。


だけど天野くんは、あたしがそれを知らないと思っているから、言えないんだろう。


きっとハッキリ言えるのならこう言いたいはずなんだ。


ーーあんなオネエ達と関わるな。って。


しきりに視線を泳がせて言い淀むその姿にあたしはハッキリ確信を覚えた。


多分、天野くんは純粋にあたしを心配してくれてのことなんだろう。


でも、それってすっごい偏見でもあると思う。


確かにオネエなんて人種、普通の人からすれば得体の知れない存在かもしれない。


でも、小野寺くんは常識もあるし、すごくいい人なのに……。


天野くんが必死にあたしを止めようとすればするほどその姿に苛立ってくる。


「何よ、小野寺くんが信用できないっての?」


自分でも驚くほど低く不機嫌な声が出た。


そんなあたしに、彼はさらにしどろもどろになって落ち着きをなくしている。


「いや、そういうわけじゃないんだ……。ただ、あの客が……」


たじろぐ天野くんに、あたしの苛立ちは最高潮。


もう、彼氏でもないのになんなのこの男!!


気付けばあたしはキッと天野くんを睨みつけていた。


「別にあたしが誰と会おうが、あんたには関係ないでしょ!! そうやっていちいち口挟んでくるの、ウザイのよ!」


怒りでヒートアップしてたせいか、たったこれだけの言葉なのに言い終えたあとは肩で息をしていた。


そんなあたしを呆然とした顔で見つめる天野くん。


いい人だし、からかいがいのある楽しい人だと思ってたけど、小野寺くんのことを悪く思ってるなんて、許せない。


次の瞬間、あたしは大勢のお客さんがいるにも関わらず、


「もう、天野くんなんて大っ嫌い!!」


と叫んでいた。




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