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bitter bitter sweet
【コメディ 恋愛小説】

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♠狙われた女♠-2

今日の俺のシフトは15時から閉店(close)まで。


スウィング的に言うならば、“3クロ”っていうシフトである。


ちなみに今日のクローズメンバーは、古川さんが13時入りの“1クロ”、そして松本が17時入りの“5クロ”となっている。


小野寺くんが17時上がりで松本と交代するから、17時までの2時間が勝負なのだ。


「おはようございまぁす」


いつもと同じトーンで挨拶したつもりだったが、どこか緊張していたんだろう、声が上擦ってしまった。


カウンター越しに目が合った小野寺くんがフッと笑ったような気がして、カッと顔が熱くなる。


「おはよ、天野くん」


一方で古川さんがいつものふにゃっとした柔らかい笑顔を向けてくれるから、その優しさに目の奥がツンと痛くなった。


うう、古川さん……惚れていいっすか?


「天野くん、このサンドイッチを補充してからレジをお願いね。小野寺くんがドリンク、あたしは点検しながらフロアやるから」


古川さんは作り終えたツナ、タマゴ、ポテト、ハムの各種サンドイッチを綺麗に並べたトレイを俺に渡そうとしたので、慌ててすぐそばの洗い場で手を洗ってアルコール消毒をした。





「……うす」


「おはよ」


同期で同い年でもある小野寺くんとは、シフトが重なると和やかに仕事ができる。


でも、今日の俺はいつも通り明るく挨拶すらまともにできなかった。


こないだのこと、聞かなきゃいけないのに。


気負い過ぎて、かえって落ち着きをなくしてしまった俺は、にこやかに笑う小野寺くんの隣に立つと、妙に息が荒くなった。







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