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目覚めの失恋
【熟女/人妻 官能小説】

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デートの日-1

いよいよその日が来た。前の晩はお風呂で隅々まで丹念に洗い、ボディークリームをたっぷり塗って体のケアを完璧にして今日を迎えた。夫や娘に対する罪悪感は拭えないでいるが、一度だけのつもりだからと神様に乞う。人生で一度きりだから過ちとわかっていてるけど好きな人の所に冒険させて下さい。帰ってきたら家族に今まで以上に尽くしますから…。と目をつぶって唱え終わると今の自分の立場などはきっぱり忘れて弘樹クンだけに気持ちを集中させるのだった。約束は14時なので時間の余裕はあったが、心の余裕はなく、早くから身支度を整え始めていた。
 プルルルル…。9時頃に突然家の電話が鳴った。家にかかる電話なんてほとんどがセールスなので無視しようかと思ったが、一応取ってみた。

「もしもし、辻井佐有里さんのお宅でしょうか?」

「私で間違いないですが、どういったご用件でしょうか?」

なんとなく聞き覚えのある声…。まさか…。

「佐有里さん、私は、石井と申しますが、覚えてらっしゃらないですか?」

覚えてないはずがない、というよりも時々思い出しては体を熱くして下着の中を潤ませるその声だった。

「え、どうして…」

戸惑って慌てている私を遮って石井さんは淡々と話す。

「実は…、以前の佐有里さんのファッションチェックの動画を販売したく思いましてね…。正式な許諾書にサインを頂きたいんですよ。」

「AVなのに私を騙して撮影してましたよね? 認めるわけないでしょ? それより
撮影テープを返して下さい。法的手段に出ますよ。」

「まあまあ奥さん、そんなにエキサイトしないで。正式にサイン頂けたら、正式な出演料払いますよ。」

「出演料なんていらないです‼ とにかくサインしませんし、テープ返して下さい。」

「そうですか…。実は当社HPで今、佐有里さんのサンプル動画をアップしてるんです。幻影異聞録という社名で検索して下さいよ。」

電話しながら手元のスマホで慌ててアクセスした。そして絶句する…。顔はモザイクになっているが確かにあの日の私のあられもない姿が生々しく再生されていた。

「本当に困るんです!! 法的手段に出ますよ。」

弁護士と結婚した友達がいたので、かなり本気のトーンで抗議した。

「やっぱりダメですか? んー、仕方ないですね…。じゃあ諦めますよ。その代わり今日元データ取りに来て下さいよ。明日から九州ロケで総出になるんで。」

14時からの弘樹クンの約束にはまだまだ時間があったが、意識を集中させたい…。

「どこに取りに行けばいいんですか?」

私に声を掛けた所の駅で11時に待っているということだったので、モヤモヤしたまま弘樹クンに会うよりはすっきりさせてから会いに行こうと、テープを取り返す事を決意した。


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