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目覚めの失恋
【熟女/人妻 官能小説】

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日常の幸福-1

子供が夏休みに入った。私は相変わらず通勤が日常生活で唯一の愉しみだ。傘の青年とはいつも会釈して通り過ぎるようになった。たまに彼が乗っていない時があるが、その日は一日気分が晴れない。病気なのかな?と思うぐらいならいいのだが、私を避けてる?などどと妄想が行き過ぎてしまう事もあったが、次に乗った時に見かけるとそのモヤモヤした気分はすっかり忘れて、一日嬉しい気持ちで過ごせるのだった。娘の夏休みも序盤を過ぎた頃、隣県にある夫の実家(ご両親に迎えに来てもらって)でお泊まりすることになっていた。娘だけで夫の実家でお泊まりするのは初めての事だったので、その間夫と二人で過ごすのはなんとなく違和感があって少し不安ではあったが、珍しく夫からディナーに誘ってきたのにはかなり驚いた。夫はその日は早く帰れるというので、夫の帰りの時間に合わせて待ち合わせ場所を指定された。夫とのデートなんて実感は沸かないがそれなりに気合を入れておめかしをして5分前には到着していた。

「佐有里ー、待った?」

後方から声を掛けられて少しドキッとした。普段はお前とかお母さんとしか呼ばないのに、名前で呼ばれるなんて何年振りかわからないぐらいだったからである。夫はすでに予約しているらしく私をエスコートして店まで歩いた。内装や雰囲気がとてもオシャレなイタリアンのお店で私は値段が少し気になった。料理の見栄えや味も今まで行ったどのイタリアンの店よりも秀でていた。途中シェフが挨拶に来たが、夫は何回か来店して、どうやら顔馴染の客のようだった。夫は仕事の客と来ると言っていたが、今日の夫は家で見せる夫とは全然違い、遊び慣れた紳士を思わせるような振る舞いだった。

「佐有里、最近子育てに余裕がでてきたのか、少し綺麗になったんじゃない?」

締めのスイーツを食べながらそんな事を言ってきて、なんだか知らない紳士とデートしているみたいだった。女がいるのか?と少し疑念が沸いたが、すっかり気分が良くなった私はそんな気持ちは掻き消し、お酒の勢いも手伝って、帰り道には自然と自分から腕を組んでいた。そうなると新婚以来の二人きりの夜に自然と期待が高まっていた。夫が先にシャワーを浴びて、いつもは直行のベッドルームではなくソファに腰掛けて寛いでいたので、否が応でもセックスレス解消への期待は高まっていた。丹念に体を洗い、AV撮影に騙された時以来つけていなかった一番お気に入りの下着を着けて、ソワソワしながら急いで髪を乾かした。おまたせ!って言いそうな勢いでリビングに戻ると…、夫はいなかった。騙されたような気持ちで寝室にそっと入ると、すでに夫はいびきをかいていた。さっきまでの紳士の姿はなく、いつもの夫の姿だった。少しあきれながらも、私もベッドに入った。それでも横になって夫の姿を見ながら、少し前にテレビで言ってた、‟セックスレスになってからが本当の夫婦”というのを思い出し、聞こえないぐらいの声で

「今日はありがとう。久しぶりに楽しかったわ。」

と囁き、私やっぱりなんだかんだ幸せなんだなと思いながら、眠りに落ちて行った。


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