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あの夏の日のひぐらし
【姉弟相姦 官能小説】

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第一章 さざなみ-2

 「なあ。」
 「ん?」
 「もし、瑠璃花さんが実の姉でなかったら、オマエ、彼女にしたいか?」
 「…そんなの考えたこともなかったよ。」
 「あんなに素敵なんだぜ。毎日同じ家に居て、ムラっときたこと無いのか?」
 「あるわけないだろ。」
 本当は…ある。
 俺が中二、姉さんが高三の、とても蒸し暑い夏の夕暮れだった。
 風呂上りにタオル一枚でリビングを通り過ぎようとしている姉さんの白い太腿が見えた。
 俺の視線に気づいたわけではないのだろうが、姉さんは急に振り返り、どうしたの、と小さく首をかしげて穏やかな微笑みで俺をみつめた。
 片手で押さえただけのタオルの胸元には谷間が覗き、裾の所は大きく捲れていて、それを見た瞬間、俺の胸は何故かジクっと痛んだ。そして、咄嗟に視線を捻じ曲げた。
 カナカナカナ、カナカナカナ…。窓の外ではひぐらしが鳴いていた。
 今でも鮮明に残るその情景の記憶は、胸の痛みがどういう感情だったのかを後に知った時、俺をひどく混乱させた。
 姉さんを避けるようになった俺を、少し寂し気な瞳で遠慮がちにみつめる表情は、なおさら俺を苛立たせた。
 やがて俺には彼女が出来、姉さんのことを特別に意識することなく一緒に居られる関係に自然に戻っていった。
 「抱いちゃえよ。」
 「な…オマエなあ。」
 「オトコとオンナであることには変わりないだろ?子供出来ちゃたら生物学的にも社会的にもマズいけど、完璧に避妊すれば問題ない。」
 「問題ある。ていうか、姉さん、俺にそんな気を起こすわけがない。」
 「どうして?」
 「どうして、って…。」
 そういえばどうしてだろう?
 「子供の時から一緒だから?それとも何か生物学的な仕組み?理由は知らないけどさ、とにかく姉弟はそういうことにならないんだよ。」
 テツヤは腕組みして何か考えている。
 「…韓流ドラマによく出てくる設定らしいんだけどね。離れ離れに育った姉弟が偶然再会し、惹かれ合い…。」
 「まさか、そういうことになっちゃう展開?」
 「いや、ドラマではそこで何らかのイヴェントが発生して、最後までは行かないんだけどね。」
 「ほらみろ、やっぱり姉弟は…。」
 「ドラマでは、って言っただろ。もし、実の姉弟だと気付くイヴェントが発生しなかったら?」
 「…。」
 「ほらな。つまり、してはいけない事だと自然に学んで育つから通常はしないだけであって、互いの関係を知らないでいれば、普通の男女の関係になってもなんら不自然なところはないんじゃないか。」
 確かに、自分の姉であるという条件を外してしまえるなら、とても魅力的なオンナだと言えるかもしれない、姉さんは。もし、姉弟と知らずに出会っていたら…。
 「さて、帰るか。瑠璃花さんにも会えたし。オマエを十分にからかったし。」
 「オマエ…やっぱり性格に難があるな。」
 「お褒めにあずかり、大変光栄に存じます、とか、最高の誉め言葉として受け取っておこう、とか言えばいいのかな、こういう場合。」
 「好きにしろ。」
 「ああ。じゃあな。」
 「おう。」
 玄関までテツヤを見送りに行った。ドアを閉めて振り返ると姉さんが立っていた。俺は何故か目を伏せた。
 「何のお話してたの?今日は何だか静かだったけど。って、訊いちゃいけないやつかな。ふふ。」
 カナカナカナ、カナカナカナ…。
 蒸し蒸しと暑いあの夏の日の夕暮れ。タオル一枚で俺に微笑みかけた姉さん。そして、そんな彼女に対して抱いてしまった胸の痛み。忘れていた戸惑いが、窓の外のひぐらしの声と共に蘇ってきた。
 「姉さん…。」
 彼女の朗らかな笑顔を起点に視線を下げていけば、細く長い首筋を通って柔らかな髪を乗せた華奢な鎖骨へと至る。その下にはシンプルなTシャツに包まれたふくよかな二つの膨らみが慎ましく揺れ、キュっと括れてはまた豊かな質量を取り戻す魅惑的なS字ラインに続いて、しっとりと白く滑らかな太腿へと辿っていくことができる。
 「なあに?」
 胸のふくらみの頂上部分に小さな突起があるのが見える。
 「シャツ一枚なんだ。テツヤに見られなかったかな。」
 「いいわよ、見られても。子供のころからのお付き合いだし。二人まとめてお風呂に入れてあげたの、忘れた?」
 覚えている。あの時は姉さんに何も感じなかった。
 「ウソよ。一応男女だからね。さっき部屋に行った時はちゃんとブラ着けてたし、今は奥の部屋に隠れてたから、見られてないわよ。」
 「そうか、ならいいんだ。」
 「心配してくれるんだね、こんな姉でも。」
 「するさ。大切な…姉さんだから。」
 慌てて言い足した。
 「幸せになって欲しいからね、弟としては。」
 姉さんは何も言わず、小さく首をかしげて柔らかな微笑みを俺に向けている。
 俺は、話題を変えるまでに一瞬の間を必要とした。
 「…暑いね、今年の夏も。ちょっと外へ出ただけで蒸し蒸しだよ。」
 「汗かいた?」
 「うん、少し。」
 「…あの時みたいにお風呂入れてあげようか。」
 ついさっきまでの俺なら、ふざけんなよ、っと笑い飛ばしていただろう。しかし、今は言葉が出てこない。
 「あれ?本気にしたの?じゃあ、ホントに入れてあげよ…」
 「やめてくれよ。」
 「ごめん…。冗談が過ぎたね。」
 「いや、いいんだよ。ノリ悪くてごめんね。」
 「そう?」
 姉さんはなんとなく寂しそうな肩を見せながら奥の部屋へと消えていった。
 「姉さん…。」
 俺はその背中をぼんやりと見送った。


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