投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

bitter bitter sweet
【コメディ 恋愛小説】

bitter bitter sweetの最初へ bitter bitter sweet 8 bitter bitter sweet 10 bitter bitter sweetの最後へ

♠性悪女♠-9

そんな彼女がガラにもなくて、ちょっとビビる俺。


告白前ならいざ知らず、本性を知ってしまった俺にそんな顔したってもう騙されねぇぞ!


「しゃーねーだろ、可愛いってのは事実なんだから。でもな?」


「天野くん……」


「お前がいつも猫被ってるのが原因なんじゃねーの? いつも明るくにこにこしてて、いい娘キャラでさ。そんなんじゃなく、その腹黒い所をもっと前から出してれば、外見だけで好きになるような男なんて寄って来なかったんだよ!」


「は、腹黒い!?」


松本がびっくりしたように目を丸くしているのを見て、初めて自分が優位に立ったことを知る。


よし、ここからは俺のターンだ!


「ああ、黒い黒い、真っ黒い! 振った途端に性格クソ悪くなりやがって! ったく、俺だってオメーがこんな性悪女だって知ってたら告白なんてしなかったわ!!」


びっくりして口をパクパクさせる松本に、俺はさらにダメージを与える。


くらえ、痛恨の一撃!!


「ハッキリ言ってなー、告白したことメッチャ後悔してるわ!! 何だよ、あのバイトでのいい娘キャラ! いっつもニコニコしてて、楽しげにしてるかと思いきや、時折寂しそうに笑ったりーの影のある女演じやがって!! そういうのも全部キャラ作りだったんだろ! もう、俺は騙されねぇ!!」


ビシィッと揺れる電車の中で、松本の顔に指差しをしてやった。


「犯人はお前だ!!」と言ってるようで実に気持ちイイ。


しかし当の松本は怒るわけでもなく、呆然とした顔で固まっているだけだった。


二人の間に、タタン、タタン、と電車の走る音だけが響く。


「寂しそうに笑ってた……って、あたし、そんな顔してた?」


独り言のようにボソッと呟いた松本は、その大きく見開いた瞳をみるみるうちに潤ませる。


ヤバい、言いすぎた!!


「いや、あの、俺のカン違いかもしれないんだけど、そう見えただけって話だ! 楽しくみんなで話してる時とか、たまにそんな風に見えてた気がしてたんだけど、多分俺の見間違い……うん、錯覚だ、錯覚」


何とか逆襲したかったのに、思わずカウンターを食らった俺は結局松本にこれ以上のことは言えなかった。


クソ、コイツの泣きそうな顔って反則だよなぁ。






bitter bitter sweetの最初へ bitter bitter sweet 8 bitter bitter sweet 10 bitter bitter sweetの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前