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bitter bitter sweet
【コメディ 恋愛小説】

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♠性悪女♠-7

「なあに、見惚れてた?」


「は、はあっ!?」


自分の行動を見透かされ、ついつい荒げてしまった声。


他の乗客の視線が一斉に向けられ、バツが悪くなった俺は真っ赤な顔で俯いてしまう。


そんな俺の反応に、含み笑いをしていた松本は、とうとう堪え切れなくなったようにプッと噴き出した。


クッソムカつく……!!


どう見ても分が悪い俺は、せめてもの抵抗として、もう相手になんかしねぇとプイッとそっぽを向いてやった。のに。


「あ、怒った」


「怒ってません」


「やだぁ、怒んないでよ。ユ・ウ・ヤ」


そう言って彼女は甘えた声と上目遣いで、こちらを見るもんだから。


クッソ、可愛いじゃねーか!!


と、そっぽを向いた顔の温度が上がってしまう。


こんな可愛い娘に、シャツの裾をちょっとだけ掴まれ、甘えた声で名前を呼ばれ(しかも普段は苗字呼びのくせに)、キラキラした大きな瞳で見つめられたら、男なら誰しも心臓がバクバクしちゃうだろう。


まして大好きで仕方なかった女だ。


でも松本が、こうやって赤面しっぱなしの俺の反応を見て楽しんでいるのは明らか。


俺が照れるのをわかってて、わざとやってるんだ。


俺はそんな松本の思惑をわかっているはず、なんだけど。


彼女がどんなに性悪で嫌な女であっても、メチャクチャ可愛くて、その一挙手一投足に未だドギマギしてしまうのも事実なのだ。


「ね、天野くん」


「何だよ」


「天野くんは、あたしのどんな所を好きになったの?」


いきなりの直球に、赤面した顔にさらに鼻水が出そうになる。


こんな無神経な質問、振った男に聞くか普通?


さすがにこれは人としてどうなのと、ジロリと睨んでやるけど、当の本人は痛くも痒くもないようで、ニコニコ笑うだけ。


……こういう、空気の読めない所も可愛いと思っちゃうなんて、イかれてんな、俺も。


ふう、とため息を一つ吐いてから、俺はその重い口を観念したようにゆっくり開いた。





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