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祭りの日の儀式
【若奥さん 官能小説】

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22年前のあの日-1

 隣町の高校に通う清水久美と砥石聖子は、土曜日の午後暇を持て余していた。
 中間テストも終わり、部活をやっていない二人は何することも無く、久美の部屋でポテトチップスをつまみながらダラダラと女性誌を眺めるだけだった。
「あー、暇ねえ。ねえ久美―、なんか面白いことないの?」
 読み終わった女性誌を、テーブルに置き、背筋を伸ばしながら聖子が聞いた。
「何かあればこんな所でグダグダしてないよー」
 久美も読んでいる途中の本をベッドの上に放り、背伸びをした。おまけに大あくび。
「あら、人前でそんなに大口開けるなんて、品行方正な久美にしては珍しぃ」
「それだけ暇ってことよ」
 高校2年の秋。進路も何となく決めつつあり、進学希望の二人は本来であれば勉学に余念がない時期になっていないといけないのだけれど、まだまだエンジンが掛かっていない。
 いつもならば隣町に住む高校の仲良し二人、佐和子と香里の合わせて四人でショッピングや映画などに出掛けることもあるのだが、隣町の二人は、商工会議所が企画した町民旅行に参加していて不在。手持無沙汰な二人はただただ暇を持て余すばかりだった。
「ねぇ聖子」
「何?」
 久美はベッド、聖子はカーペットの上に寝転んでの会話。
「源太とはどうなったの?」
 聖子は同級生の源太と付き合っている。蕎麦屋の源太とは保育園からの幼馴染で、小中学校まで一緒だった。源太は少し離れた商業高校に進学し、野球部に入っている。
 聖子と源太は中学時代から本格的に付き合い始めた。しかし、事あるごとにケンカし別れ、別れたと思えばいつの間にか寄りを戻す。そんなことを繰り返していた。
「アイツ本当に適当でさ。今度はスタイリストを目指すなんて馬鹿なこと言い出して。栗ポンが言うんだったらわかるけど、アイツにそんなセンスある訳ないじゃん。ホントに呆れちゃうわ」
 美容室の息子、栗原進太郎はこの町きってのお洒落な男。田舎暮らしが似合わない彼がスタイリストを目指すと言えば、誰しもが納得するだろう。
 一方、源太といえば、世の中の流行りに敏感に反応する典型的な夢見屋。この間までは、ゲームクリエイターになると言っていた。その前は、インテリアコーディネーターだったか・・・・・・
 流行り物に目がなく、見るもの聞もののべつ幕なしに自分の将来の職業にしてしまう。
「とにかく横文字職業が好きなのよね。何かと言えば、これこそ俺にピッタリな職業だって。何回転職すれば気が済むのよ」
 何だかんだとバタバタする二人だが、それでも結局は元の鞘に戻るのだから、相性が悪いわけではない。
「いいじゃない。それだけお互いを理解してるなんて、高校生にしては珍しいカップルよ」
「そうかなー」
「そうよ。うらやましいわ。それに比べて私はいつまで彼氏出来ないんだろ」
 久美は中学時代、一つ上の先輩と少しだけ付き合ったことがあるが、それ以降彼氏と呼べる男性はいない。
「ええっ、それって久美が真面目過ぎるからよ。この前だって、小林先輩に告白されてたじゃない。小林先輩って言ったら1こ上の間でも結構人気あるんだよ。顔だって悪くないし、バスケやってるスポーツマンでカッコイイじゃん」
 確かにその通りなのだが、何故か恋愛感情が湧かなかった。久美は勉強が上位、生徒会の役員でもあり真面目っ子の印象が強い。
「それはそうなんだけどね・・・・・・」
「あの人がいいとか言ってくれれば、私がキューピッドになってあげるのに」
「で、源太とはどうなってるの?」
 久美にとって少しヤバイ展開になってきたので、無理やり元の話に戻した。
「え!?ああ、一応付き合っていることにはなってるけど・・・・・・」
「そうか、いいことだよ。うん。やっぱ二人はお似合いなんだよ」
「ええーっ!?そうかなー」
「そうだよ。で、キスから先に進んだ?」
 聖子と源太がキスしたことがあるとは聞いていた。20年前の片田舎の高校生だ。イマドキの都会の中高生とは発達速度が違う。田舎町の同年代でどれだけの性体験者(SEX経験者)がいるのだろうか。ほとんどいないはずだ。
「ええーっ、そんなこと聞くのぉ?」
 聖子が怒っている様子はない。むしろ、聞かれるのを喜んでいるようだ。
「最後まではいってないよ。オッパイは触られたけど」
 キスさえしたことのない久美にとって『オッパイ』という単語は、刺激が強すぎる一言だった。
「違うよ。直接じゃなくて、服の上から・・・・・・」
 久美だって子供ではない。男と女の性の営みぐらい知識としては知っている。互いの性器を口で舐め合うこと、怒張した男性器を濡れた女性器に迎え入れること、それがえも言われぬほどの快楽世界であることらしいことも知っている。
 ただ知識だけで、それがどのような快楽なのかは分からない。だからこそ興味津々なのである。
「へぇ〜そうなんだ・・・・・・いいな」
「だから、久美も選んでいないで誰かと付き合えばいいのよ。そりゃあむやみやたらにエッチするのはどうかと思うけど、付き合うだけでも楽しいと思うんだ」
 インターネットなど普及していないこの時代。SEXとはどんなものかを実際に見るには、非合法の本又はビデオしかなかった。久美たちがそれを手にする機会はほぼゼロ。ある程度は頭の中で妄想するしかない。
 だからこそ、本物の性行為を見てみたいと久美はいつも思っていた。
「あ!そうだ」
 何か閃いたのか、久美が声を上げた。
「ねえ聖子。今日、種の岩に行ってみない?」
「ええっ!!それって・・・・・・」
「そう。見てみたいと思わない?」
 この町にある種の岩伝説。子宝に御利益があると言われ、種の岩に触れながらSEXすると妊娠するという都市伝説めいた言い伝えがある。
 だが、この的中率は凄まじく、この町では迷信ではなく、リアルな真実として伝聞されているのだった。


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