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特命捜査対策室長 上原若菜
【レイプ 官能小説】

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責任-9

優里はある意味淡々と会話を続けていた。それはあたかも予め言葉を用意していたかのように。もしかしたら若菜の口にする言葉さえも予想していたのではないかと感じる程自然な受け答えであった。そんな優里に若菜はふと言葉を漏らす。
「あなたはテロリストになるべきじゃなかった。政治家になるべきだった…そう思うわ?」
その言葉に一瞬、優里の表情が変わったような気がした。
「政治には興味がないわ?彼らの中にも鬼畜と呼ばざるを得ない輩がたくさんいる事はあなたたちの沼尻エリサさんに聞けば分かるんじゃないかしら?例え私が政治家になっても腐った政治家に同じような事をしたでしょう。私は…、いえ、何でもありません。」
優里は言いかけた言葉を飲み込んだ。若菜はその言葉こそ聞きたかった。優里の本音であろう、その言葉を聞きたかった。しかし優里はすぐに話を変えてしまった。

「あなたは強い女性です。確かに私にはレイプされた経験がない。だからあなたが被害に遭った後の苦しみは私が思う以上に何倍も何倍も大きい事だったと思う。でもあなたは立ち上がり、這い蹲り、今ではここまで大きな存在になった。それがテロリストではなくもっと違う形であったなら、きっとあなたは歴史に残る偉大な女性になった事だと思う。レイプ犯罪に溢れたこの腐った日本を、私はあなたと一緒に変えて行きたい。」
もはや若菜は何を言っていいか悪いのか分からなくなっていた。本来ならテロリストと手を組み犯罪に立ち向かうなどと言った言葉は警察官、いや警視総監にはあってはならぬ言葉である。若菜さえも自分の世界に引き込む優里は常人にはない何かを持っているのだろう。その姿はただのテロリストではないと言う印象を視聴者に与えた。

「フフフ…。それは私が改心してから一緒にって事よね?でもゴメンなさい。私は改心するつもりはない。私は犯罪者として、あなたは警察として、それぞれ戦って行くのが運命。私はあなた程人格者でもなければ賢くもないから。」
さり気なく若菜を擁護する言葉も挟みながら自分と若菜は違うのだと言う事を表現する優里。何を言っても跳ね返されてしまう若菜は、改めて優里の大きさを痛感したのであった。

(似てるわ…)
優里はある捜査資料を読んだ時に、どんな言葉も完膚なきまでに論破して警察を手玉にとったあの人物の名前が頭に浮かんだ。そしてそれまでもよんでいたかのように優里は言った。
「私、似てるかしら?私の元夫と…?フフフ。」
「湯島…武史…。」
そう、その話術は湯島武史にそっくりであった。それを自覚している優里にも驚かされた。
「それは似るわよ。だって彼に受けた屈辱をそのまま腐った男達にしてやろうと散々研究したから。勿論警察のデータベースにもハッキングもしたわ?スパイ使って捜査資料も手に入れた。私は彼によって泣かされ、人生を狂わせてしまった女性の事や自分の過去を思い出し、涙を流しながら何度も何度もそれを読み返した。その涙の数だけ今の私は強くなったと言っても過言ではない。私には心の支えを幸せにする事は出来ない。私の根源は憎悪…。それは湯島武史と同じね。フフフ、夫婦揃って仕方のない人間ね。嫌気が差すわ…」
そう言って溜息をついた瞬間、優里の顔から笑みが消えて行ったのであった。


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