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祭りの日の儀式
【若奥さん 官能小説】

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種の岩伝説-3

 子供たちはと言えば、ほとんどの家庭が親と同居ということもあり、家で見てもらっている。核家族は、一緒に連れてきて子供たち同士で遊ばせている。
「欲しいんですけどねぇ。こればっかりは」
 少し溜息交じりに答える。みなみ自身、不妊症というわけではないけれども、どちらかと言えば妊娠しにくい方だと思っている。結輔の時も、結婚後積極的に子作りに励んでいたがなかなか恵まれず、不妊治療もチラつき始めた頃にようやくできたのだった。
 現在も積極的に2人目を作ろうと励んではいるが、まだ吉報はやってこない。

「本当に欲しいんだったら、種の岩にすがればいいじゃない。種の岩に行ってないの?」
 リーダー格の真理恵は、試してないのかとでも言いたげだ。
「タネノイワ??」
「ええぇーっ、知らないの!?」
 その場にいる全員が、驚いた顔でみなみを見つめた。フラッシュモブ状態だ。
「え!?何!?知らないとマズいんですか?」
 本当に何が何だかわからなかった。タネイワという言葉自体知らないし、その知らないことに皆がここまで驚くなんて、こっちがビックリだ。おそらく目が真ん丸になっていたことだろう。
「あのぉ、すいませんタネノイワってなんですか?」
 みなみは恐る恐る聞いてみた。
「うちらは知っているのが当たり前だけど、他所から来た人は知ってるわけないじゃん」
 カプレーゼのモッツアレラだけを器用に取り分けている美也子が言った。
「そうかぁ、うちらは小学校の頃には自然と憶えたけどね。最初聞いた時は何のことだかさっぱりわからなくて、久美と一緒に先生の所に行って、『ハメっこ』ってなあに?って聞いたら、そんなことまだ知らなくていいって怒られたのよね」
 蕎麦屋の聖子と、元村久美は保育園からの同級生。今でも一番仲の良い友人だ。
『ハメっこ』!?
 聞き間違いでなく、これが自分の知っている意味と同義語であれば、この話はあっち系、いわゆる下ネタの部類に入るのではないか。
 このメンバーならあり得る。と、みなみは思った。
 都会では会話のネタなんて、ファッションやコスメ、グルメなど掃いて捨てるほどあるけれども、こんな片田舎では、人の噂か下ネタぐらいしか酒のさかなにならない。
「で、あの話になるってこと?」
 今までスマホで今日の料理を黙々と撮り続けていた喜多奈々子が、話の輪に加わってきた。
「はい、奈々ちゃん喰いつきましたー」
 聖子が茶化すように言った。
 奈々子は、知的美人。クールビューティーとでも言おうか、こんな片田舎には不釣り合いな端正な顔立ち。下ネタには一番縁遠いルックスながら、この中では一番のスケベだと聞いたことがある。
「もーその話はいいじゃない。みんな聞き飽きてるよ」
 どうやら美也子に関わる下ネタ話のようだ。そして、それは皆が知るところであり、過去に何度もこのネタが提供されているらしい。
「お約束じゃなーい。みなみちゃんも知らないみたいだし」
 聖子も煽るように言った。聖子の言葉には、みなみが知らないから教えてあげようよ的な意味合いが込められているように感じた。
「もー勝手にしてよ」
 仕方なしに応える美也子は、メインの鶏肉の香草パン粉焼きをパクついて勝手にどうぞと、掌をヒラヒラさせている。
「その前に、まずはタネノイワの伝説から説明しないとね」
 話好きの久美が立ち上がった。
「よっ、久美先生!」
 何人かから同時に声が上がった。元村久美は高校教師。わかりやすく説明するのはお手の物だ。
「お祭りの時に賑わう神社は知ってるよね?・・・・・・」
 生徒に語り掛ける様な如何にも教師らしい語り口で、久美からタネノイワ伝説が語り始められた。
 
 この町の多くが火を崇めていると言っていい。先祖より火のありがたさは嫌っていうほど教えられてきている。小さいころから火を大切にし、火の重要性、火の怖さに加え、この町がいかにして火に守られているかということを、ほとんどの子供が爺さん婆さんから聞いている。なので、自ずと火に対する尊敬や愛着も出てくる。
 そのご神体である神社は小高い山の中腹にある。山といっても、階段を100段ほど登れば頂上に着いてしまうくらいの小さな山なのだが。
 神社より更に上、頂上を目指す途中に直径1mほどの岩がある。これがタネノイワと呼ばれる岩。
 漢字で書くと種の岩となる。この場合の種とは、ズバリ子種。精子のことを指す。
「この町の言い伝えで、種の岩に触れながらハメっこすると子宝に恵まれるって言われてるの」
 久美は先生然として真剣に講義調で説明している。
「えぇマジでぇ」
 ほろ酔い加減の奥様方からヤジが飛ぶ。
「これが・・・・・・本当なんですねぇ。かく言う私も、ここでハメっこ、つまりSEXして子供を授かりました。」
「おおっ!!」
 奥様方の息の合ったコンビプレー。
「でも先生って徳よねぇ。いっつも思うわ」
「聖子ちゃん。意見がある時は手を挙げて」
「はい、先生」
「はい、聖子ちゃん」
 完全に学校の教室状態になっている。
「だってさ、私たちが下ネタ話すと、おばさんたちの単なるスケベな会話としか思われないでしょ。それが先生って肩書が付くだけで、なんかやたら真面目な話に聞こえるじゃない!?」
「確かにそうだー」
 食べ通しの美也子も参戦する。
「久美だって、私たちと同じようにスケベなわけじゃない!?下ネタになると、おしゃぶり久美ちゃんて言われているのに、先生っていうだけでねぇ」
 聖子の意見は、スケベなのはみんな一緒で、職業によって見方が変わるのはおかしいと。
「今更いいんじゃないの。みんなスケベなのはわかってることだし。女は誰だって、オマンコ好きなんだから」


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