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元人妻との恋
【フェチ/マニア 官能小説】

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回顧-2

早朝の3時過ぎに目を醒ましたけど、今日は土曜日だったことを思い出して湯船を沸かして身体を綺麗にすることから始めていた。
テーブルの上に転がる空き缶を片付けて、灰皿に溜まった吸い殻を捨てて、溜息を漏らしながら湯船が湧いた音を確認していた。
鏡台でゆっくり化粧を落とし、肌綺麗だね。と言ってくれていたあの人を思い出していた。

「凄い綺麗な肌だね。手入れしてるの?」
「何にもしてないよー。だってまだ若いし」
「可愛いよ佳奈ちゃん」
「やだー、そんなに見ないでよ」
「ねぇ。一度、顔にかけてもいい?」
「あ!顔射でしょ?エローい」

そう言ったものの、あの人の顔射に興奮してしまっていた若い頃があった。あの人はわたしの頬に向けて何度も射精を浴びせた頃があった。非日常的な顔射に興奮する私は舌を伸ばして口にだしてとせがんだこともあった。

私は若かったのだ。洗顔で化粧を落としながら、次々と思い出す過去に私は打ちのめされるように湯船に向かうことしかできなかった。

湯船からあがった私は、時間をかけて身体を手入れしていた。少し小さくなった胸を持ち上げてローションで潤いを与え、徐々に大きくなるお尻に向かって両手で何度もクリームで磨いていた。当時はGカップを自慢していた私だったけれど今はFカップで十分収まる張りしか保ててなかった。若い頃に戻りたかった。あの頃の輝きが眩しかった。

鏡台に向かった私の素顔は、年相応に大人の素顔に変わってしまい笑窪だけがあの当時のまま私を励ましているようだった。

「可愛いえくぼだね」
「よく言われる。可愛いいでしょ」

あの人に向かって本当に笑っていたような記憶がある。何であんなに楽しかったのだろう。認めたくないけど、当時の私はあの人が本当に好きだったに違いなかった。リビングに戻りテーブルに置きっ放しの一枚の写真は、今のわたしに挑むように恥ずかしい格好で顔を決めてこちらを見つめているようだった。若い私だった。
あの人と過ごした若い頃は毎日が楽しかった。夜中に車で駆けつけてくれて早朝4時まで私の話に付き合ってくれたあの人だった。
私はまだ大学生だったけれど、あの人は26歳のはずだった。よくそんな時間まで付き合ってくれていたと今なら理解できる。早朝4時すぎに抱いてもらうことをせがんだ日もあったはずだった。それでもあの人は寝ている私を起こさないように朝会社に行ってメールを入れてくれる人だった。今思うと私はかなり我儘だったと思う。そんな私に嫌な顔をせずに付き合ってくれていたあの人は本当に私を必要としていたんだと思う。

一枚の写真を眺めながらあの人の当時の優しさに心が震えてしまっていた。そんなあの人と徐々に距離を離して、会社で知り合った別の人と付き合いだしたのはわたしの方だった。

「佳奈ちゃん。歯ブラシないよ。どこに片したの?」
「ごめんごめん。掃除したとき間違えちゃった」

洗面台の下の扉に隠したあの人の歯ブラシをうっかり出し忘れたあの日を思い出していた。前日、新しい彼が部屋に泊まりに来たとき、あの人の全てを放り出すように片付けて向かえた翌日だった。

「今日、早く帰れそうだから寄ってくよ」
「えぇ、珍しいじゃない。何時くらいになるの?」
「だぶん、21時頃かな。また連絡するよ」

わたしは慌てて新しい彼氏の物を片して、あの人の物を取り出して準備に抜かりはないはずだった。あの人が来るまで窓を全開にして、湯船で何度も身体を拭って垢を落とすように身体を磨いて向かえたあの日だった。

「なぁ。SEXしようよ」
「らしいわね。あなたくらいよそんなストレートな人は」
「いやなのか?」
「ここはいや、部屋においでよ」

リビングで昨夜何度も彼とやった私は、ばれないかが心配でわたしのベッドに強引に連れて行くようにあの人を誘っていた。早く終わらせようと、いきり立つ勃起を咥え彼より硬いわと思ったどうしようもない私だった。

「バッグでいい?」
「はやく入れて!欲しいわ」
「気持ちいい、気持ちいいよ」
「すげぇ気持ちいいよ佳奈」

早くイッてよと願いながら射精をお尻に放ち終えたあの人にホッとしたわたしは、「硬くてよかったよ!」 と宥めて、わたしの胸で呼吸を整えるあの人に優しく声をかけて誤魔化していた当時の私を思い出していた。

わたしは平然と二股をかけるような女だった。悪い女だ。ちょっと格好いい男を見かけても褒められる笑顔と大きな胸に自惚れて、どうせわたしとやりたいんでしょ。と当たり前のように考えてしまうのが当時の私だった。

溜息と共に36歳の今を嘆くことしかできなかった。写真の私はまだあの人だけの女だった。なのにどうして目移りしてしまったのだろうか。若さだと言われればそうかもしれない。

リビングに登る朝焼けを眺めながら、あの人は今何をやっているのだろうとぼんやり考えてしまっていた。怒りは完全に収まっていた。あの人に会って写真の意図を確かめたくなってしまっていた。あの人と楽しかった当時の出来事を思い出した私は感傷的にあの人を探すように遠くを見つめることしかできなくなってしまっていた。


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