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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈聖地篇・序章〉-7

「貴未様…私供はヒヤヒヤしましたが…。」

「へ?なんで?」

近くに居た軍人が、緊張から解き放たれ、吐き出すように呟いた。

あんな怒り狂った様に見えた国王陛下の前に、ゆるく入り込むのは、そうできるものではない。

「そんな、カルサが乱心するわきゃないじゃん。本当にした時はみんな死んでるって!」

けたけた笑いながら貴未は去っていった。国王直々の極秘調査をしている事と、カルサと対等に話している事から、いつしか「様」が付くようになった貴未。

しかし、何よりの原因はその度胸の良さなのかもしれない。

カルサの叫び声も、貴未の笑い声もフェードアウトしていく中、その場に居た誰もが固まったまま取り残された。

カルサは相変わらずサルスを捜し、城内を歩き続ける。ちょうど中庭を見渡せるバルコニーにさしかかった辺りで、後ろから声がかかった。

「陛下!」

聞き慣れた声にカルサは振り返る。そこには息切らして、走り寄る秘書官の姿があった。

「すみません。私を捜していたと聞き…。」

「遅い!!」

目の前に現れた秘書官をカルサは一喝した。その表情は怒りに満ちている。

サルスは思わず固まり、謝る事しかできなかった。勢い良く頭を下げる。

「すみませんでした!」

「これが緊急事態だったらどうするつもりだ!」

「今回は…緊急事態ではないのですか?ただならぬ様子と伺ったのですが。」

サルスは素直に疑問を口にする。まず自分を捜しにくる事が珍しいのに、更に大声で叫びながら捜しているというではないか。

慌てて来てみれば緊急ではない。では何なのか。

「心当たりに居なかったから、手っ取り早く捜そうとした。」

サルスは思わず脱力した。あの緊張はなんだったのか。ふと、いつからこんなに大雑把な事をするようになったのか考えてみる。可能性として一番大きいのは貴未だった。

「貴未の影響は恐いな。それで、私に用とは?」

「私用、とは言えないな。場所を変えよう。」

そう行ってカルサは先に歩きだした。サルスは遅れて後に続く。その表情には焦りがあった。

その時もらしたため息にカルサは気付かなかった。もちろん、その意味にも。

二人が向かったのは、いつもの会議室。国王と秘書官が揃って歩いている事から、いつのまにか女官が後ろについていた。


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