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黒豹に囚われた少女
【ファンタジー 官能小説】

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リュネットは忘れない-5


『それは昔、とある人間から奪ったものだ』

 エドガルドは答えると同時に、自分の腕を突き出して皆に見せた。その手首には、細身の黒い腕輪がはまっていた。

『服従の首輪は人間にも効果があり、俺は対の腕輪も持っている。この娘にその首輪をつけさせて、俺が引き取ろう。あっさり殺すよりも、この地を穢した人間への償いに最適だと思うが?』

 冷酷な声音で淡々と言い放たれた台詞に、リュネットは息を呑んだ。周りの豹人達すらも呆気にとられたのか、賛成も反対もすぐに上がらない。

『魔族の俺に飼われてでも生き残りたければ、その首輪を自分でつけろ』

 冷たい声で告げられ、リュネットは足元に転がる恐ろしい首輪を眺めた。
 他の豹人達は驚愕から覚め、ひそひそと囁き合っている。

『確かに掟とはいえ、こんな弱ったガキを殺すのは恥だよな。俺はやっぱり嫌だ』

『エドガルドに任せりゃ良い。あんな首輪を隠し持っていた奴は気にならないんだろ』

『ガキを長く生かして甚振りぬく気かもな……ま、人間があの首輪で苦しむのは愉快だ』

 どうやら彼らは、魔族用の憎い首輪を人間につけさせるという案が気に入ったうえに、仲間のエドガルドもあまり快く思わず、一緒に貶めたいようだ。

『…………はい。首輪をつけますから、殺さないでください』

 リュネットが押し殺した声で答えると、肩を抑える豹人の手が外された。
 震える指で首輪を取ると、冷たい感触にゾクリと悪寒が走り、肌を粟立たせる。
 これをつけたら、死ぬまでこの恐ろしそうな黒豹人の隷属になる。
 怖くて堪らなかったが、歯を食いしばって黒い輪を自分の首に着けた。

 生き延びてくれと願い、必死に助けようとしてくれた両親の想いを無駄にしない為には、こうするしかない。命さえあれば、希望はゼロじゃないと自分に言い聞かせた。
 首輪は留め金も何もなかったが、開いていた部分が触れ合うと瞬時に継ぎ目も何もなく繋がった。更に、大きさまでリュネットの細い首にピタリと合うように縮む。

 ――そして、リュネットはエドガルドの監督下で、この聖地周辺から逃げないのを条件に生かされる事になったのだった。



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