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ぜんぶはじめて
【調教 官能小説】

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8月5日 夜-1

夕食のカレーを食べ終わると、私と彼はリビングのソファに並んで座り映画を見始めた。
彼によると、15年以上前のフランス映画だという。
主人公は人と交わることが不得手な女の子で、
その子の不器用な恋愛模様が美しい映像と音楽に彩られながらゆっくりと進んでいく。
とても素敵な映画なのに、私はまともにストーリーを追うことが出来ていなかった。

映画が始まるとすぐ、肩にまわされた右手が襟から服の中へ入ってきて、
人差し指が乳首のふちを優しく撫ではじめたからだ。
反応をしないように我慢しながら映画を見続けていると、
左手がクリトリスを刺激し始めた。
下着の上からトントントンと一定のリズムで繰り返される軽いノック。
敏感な部分を二カ所同時に攻められ、性器はぐっしょりと濡れている。
刺激を受ける度にあふれ出す甘い蜜。

「これじゃあ、全然映画に集中できないよ……」
「こんなになってるのにまだ映画見たいんだ。本当、素直じゃないよね。」
「……映画見るの。」

彼の腕を軽く押さえ形だけ抵抗をするが、体はさらなる刺激を求めていた。
それを見透かされて思わず頬が赤らむ。

「本当に映画を見たいのなら、頑張って集中しないとね。」

そう言うと彼は私の足元に座り込み、大きく脚を開かせた。
すかさずぐっしょりと濡れた下着に顔をうずめられる。

「ちょっと!恥ずかしいよ、ダメだよ。」

私の言葉は無視され、彼の鼻の頭が何度もクリトリスにこすりつけられた。
家についてすぐシャワーを浴びたとは言え、股間に顔をうずめられるのは
耐えがたい恥ずかしさだった。
下着越しにクリトリスを刺激される度に息づかいを感じる。
やがてクロッチがずらされ、熱い舌が直接肌に触れた。
ねっとりと熱いそれは、あふれ出す蜜を舐めとるように執拗に動き始める。
ピチャピチャピチャと犬が水を飲むような音を立てて、ひだを舌が這う。

「ああぁ……んッ……。」
我慢出来ずに声が漏れる。ボイスチャットをしていた頃、
私は一人でする時の指の動きを彼に話したことがあった。
その時話した動きを舌は忠実に再現していた。
しかし、同じ動きでも他人の舌で攻められると、
こんなにも違う感覚を覚えるものだったとは知らなかった。
しばらく快感に酔いしれていると下着に手がかかった。腰を浮かせされるに任せる。

「あーあ、こんなに濡らしちゃって。」
目の前に差し出された下着は恥ずかしいほど濡れていた。
「気持ちいいことが大好きなんだね。自分でも触ってごらん。中を舐めててあげる。」
彼に促されるまま私は性器を触り始める。
中には彼の舌が差し入れられ、溜まった蜜を味わうように這い回っている。

「気持ちいい……、気持ちいいよぉ。」
私の言葉に、彼は愛液と唾液が混じり合ったものを啜り上げる音で応えた。
その瞬間、私は軽いオーガズムに達してしまった。
力の抜けた体をソファにもたせかけ荒い息をついていると、唐突にペニスがねじ込まれた。

脚は大きく開かせられ、高く持ち上げられている。
ジュプッという音を立てて中に入ってきたペニスは、
前後に小さく動いて子宮口を刺激しはじめた。
子宮口が押し込まれる度に、私の口からはだらしない声が漏れてしまう。
「あぁ……、あああぁ……、もっと、もっとぉ……。」

グチュグチュと音を立ててペニスが激しく動き始めた。
「すごいな、中がギュウギュウに締まってるよ。」
耳元でそんなことを囁かれると、頭の中が真っ白になってしまう。
快楽に溺れ、霞がかかった頭にどこか遠くから響くように聞こえてくるのは、私自身の嬌声だ。
「いい、気持ちいいのぉ……。変になっちゃう、気持ちいいと変になっちゃうぅ……。」
セックスは、ペニスは、どうしてこんなに気持ちいいのだろう。
北海道にいる両親のことも、大学のことも、友人のこともすべて捨て、
この家でこの人とずっとセックスをしていたい、この人のペニスをずっと味わっていたい、
何も考えられなくなった頭で、私はそんなことだけを考えていた。

唇が重ねられ、ぬめる舌が絡み合う。
時折口角に彼の舌が這う。無意識に垂らしたよだれが舐めとられているのだろう。
恥ずかしい姿を晒し、それを見られる度に体が悦びに熱く燃えるのを感じる。
「もうグッチョグチョ。自分でも分かるでしょ。」

――わかる。分かっている。
私の体は女の、いや雌の本性をむき出しにしてセックスの快楽を貪っている。
やがて、大きな絶頂が近づいてくるのを感じた。
ドロドロになった性器の中をペニスで擦り上げられ、奥を突き続けられる。
「いっちゃう、もういっちゃいます。」
そう叫ぶ私に彼は冷たく言い放った。
「だめ。」
「……あぁッ……いきそうッ……、なんで、なんでだめなの。……んくッ……。」
「いかせてくださいってお願い出来ない子はいかせてあげないよ。抜いちゃおうかな。」
そんな意地悪な言葉が私の嗜虐心を刺激する。
「いく……、いきたいです、いかせてください。」
「そんなんじゃ聞いてあげられないな。」
ピッチが早くなり、もうこれ以上は我慢が出来ない。
「いかせてください。……お願いします、いかせてくださいッ。」
「いい子だ。いきなさい。」
その言葉を最後まで聞かないうちに、
私は激しく体を痙攣させながらオーガズムに達していた――。

その夜、私は彼の腕に抱かれて眠りにつき、夜中に二度セックスをした。


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