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特命捜査対策室長 上原若菜
【レイプ 官能小説】

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偽善者-8

深野は一気に優里がノウムに入信したいきさつを伝えた後に大きく溜息をついた。
「今のが彼女がノウムに入信してきた大筋だ。しかし彼女が私に吐き出した苦悩は他人の私の口から言うべき事ではない。言えと言われても私は断る。軽々しく口にすべき事ではないからな。」
若菜は目を閉じ俯いて答える。
「分かりました。」
そう言ってゆっくりと頭を上げ、目を開けた。
「では海老川優里はノウムに入信した時から湯島武史への復讐を企てていたの?」
「いや、そんなつもりはなかったと思うし、そんな素振りは一切感じられなかった。とにかく憔悴しきっていたから、しばらくは生きてるのか死んでるのか分からないような表情で暮らしていたからな。」
「そう…。でもあなたは復讐心が芽生えたのはあれがきっかけだったんじゃないのかって言う時期ぐらいは思い当たる節があるんじゃないの?」
「いや、私は彼女だけを気にかけていた訳ではない。気になる存在ではあったが、私にとって彼女はあくまで多くの信者のうちの1人だからな。それに私は間も無くサリン事件で逮捕されずっとここにいる。さすがの私も塀の中から彼女の様子を透視する能力はないしな。それは下条の方が分かるかも知れないな。」
「そうですか。」
「ただ、もしかしたら復讐を考えるねではないかと思ってはいたが、な。」
深野から聞き出せる事はもうないと判断した若菜。
「分かりました。ご協力ありがとう。」
そう言って面会を終えた。去り際に深野が若菜に向かって言った。
「海老川優里を、救ってやってくれ。」
若菜はゆっくりと振り向く。
「出来ればそうしてあげたいんだけどね。」
と言って面会室を出た。

「ふぅっ…」
若菜は大きく溜息をつく。
「どうしたんですか?」
表情が冴えない若菜に華英が言った。
「女として、苦しい…。」
何がですか?そう聞きたかったが、華英はその言葉を飲み込んだ。警視総監がテロリストに情を感じている姿に、それ以上何も聞いてはいけないと感じたからだ。犯罪者=悪、必ずしもそうとは限らない複雑な事実を華英も理解を示した。レイプを憎む…それは海老川優里も若菜も同じ。そして自分も同じであった。
(この人はこの事件をどう解決に導いて行くんだろう…。)
華英は少し前を歩く若菜の背中を見てそう思った。


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