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特命捜査対策室長 上原若菜
【レイプ 官能小説】

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偽善者-6

深野には若菜が聞きたい事が分かったのであろう。何も言わずとも自分から口を開いた。

「私が海老川優里と出会ったのは宣教活動で九丈島に行った時だった。場所は小さな公民館。島民が100人程集まっていたが、その中で彼女は一際目立っていた。彼女はあの通りの美人だ。しかし美人だから目立っていた訳ではない。あれ程の美人が髪をボサボサにし薄汚い服を着、そして赤ん坊を抱えている姿は異様だった。今にも自殺してしまいそうな、そんな危険な状態だとすぐに分かった。彼女は宣教している時、死んだ目で私をずっと見ていた。絶望…、それ一色の目であった。壇上で話している間、ずっと気になって仕方がなかった。宣教活動が終わると、我々は一人一人に連絡先を手渡すのだが、勿論彼女にも渡した。しかし幽霊のように手を出し、視線を向ける事なく連絡先の書かれた書類を受け取りフラーッと去って行った。何か相談をされると思っていた私は肩透かしを食らったような気分だった。我々は強引な勧誘はしない。連絡先に連絡をして来た方達だけに入信を勧める。彼女には明らかに救いの手が必要だった。しかし何も話しかけては来なかった。彼女は泣き始めた赤ん坊を生気のない目で見つめながら幽霊のような手で大事そうに抱えながら消えて行った。それが海老川優里との出会いだった。我々はそのまま九丈島を離れた。」
少しの間を置いて再び話し始める。

「島を離れからもずっと彼女の事が気になっていた。あの姿は本当に危険だった。私は再び彼女に会いに行こうと思ってた。その矢先だった。何と彼女がノウム原理協事務所に現れたのだ。島で見た姿、そのままで。島から出て来て本土に着き、そこから3日かけて歩いて来たと言う。あの姿だ、人々は好奇な目で彼女を見ただろう。普通の人間なら恥ずかしくてとてもあんな姿で人目につくのは嫌だろう。しかし彼女はあの姿で来た。そんな彼女に私は心の底から彼女を救いたい、いや、救わずして自分が存在する意味はない、そう強く感じた。私は彼女を迎え入れ、シャワーを勧め汚れた体を清めさせ着衣を与えた。赤ん坊も同じ。体に湿疹が多々見られた為、塗り薬を塗り処方した。まずは容姿だけでもこの親子を人並みにしてやろう、話はその後に落ち着いたら聞こう、そう思った。一週間もすると初めは口にしなかった食事も口にするようになり、赤ん坊の体も綺麗になった。ようやく普通の親子の姿になり安心した。が、やはり生気は感じられなかった。目は島で見た時と同じであった。海老川優里の絶望は衣食住には由来していないと言う事が分かった…。」
若菜はじっと深野の話を聞いていた。


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