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異世界の血液
【ファンタジー その他小説】

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異世界の血液-3

 食べ終わるとアキラは可愛い女の子の声と顔で上目遣いに言った。
「あのう、お金が全然ないんです。恵んでくれませんか? 本当に恩にきますから、おじさん」
「金か? うん。これで足りるか?」
 店長はポケマネから四五千円を掴み取って渡す。「これだけあれば今晩ビジネスホテルに泊れますね」アキラはぱっと顔を明るくする。
「いやいやいや、ビジネスホテルなら」
 店長は万札を一枚渡す。さっきの千円札を返してと言おうとしたらすばやくしまったので言いそびれる。
「それじゃあ、良いかい。約束だよ。分かってるね」
「はい、何をすれば良いのですか? 店のお掃除でもしますか}
「何を言ってるんだ。やらせろよ。エッチだよ」
「ええっ、そんなこと以外ならなんでもします」
「ふざけるなっ。騙したな。警察に突き出してやる」
「じゃあ、私もおじさんがお腹の空いた私にパンやおにぎりを食べさせてお金をくれてからセックスさせろと言ったことを警察の人に言っちゃいます」
「この野郎っ」
 店長はアキラの首を締めて押し倒そうとした。
 つまりレイプしようとしたってことね。
 だけどアキラは強かった。だってドラゴンパワーなんだもーーん。
 店長をヒョイと持ち上げドダーンと床に背中から落とす。よくプロレスラーがボディスラム食らっても起き上がるよね。あれは下が弾力性のあるリングで投げられる方も受け身ができていて首を鍛えているから後頭部をぶつけないように気をつけてるの。 でも店長普通の一般人の素人だから事務室の床は固いし、受け身の練習してないし、首も細いから背中と後頭部思い切り打って、「うううううう」とか唸ってすぐに起きられなかった。
 その隙きにアキラはお腹の辺りを軽く踏んづけてダメージを追加してから、店長に言った。
「おじさん、これでお互いチャラにしようね。
警察に届けたら、あたしも逆に訴えるよ。だから家族を大事にしようね。
 それとサンドとアンパンとか美味しかったから、少し貰って行くね。後で在庫チェックして辻褄合わせておいてね。じゃあね。体を大切にね♪」
 そう言ってアキラは商品を少し失敬するとスキップしながら店を出た。
 なんという糞ビッチな所業だろうか。もともと腐れ童貞の負け犬底辺野郎だから、全然そんなこと気にしてないのだ。
 
 まだ夜の町でも人通りの多い所に出ると賑やかになる。街灯やネオンや店のショーウィンドーの光がアキラの姿を照らし出す。どうやらここはホコテンらしい。車通行止めをして、テーブルとか椅子を置いて休憩したりできるし、大道芸人がジャグリングをして見せたりしている。バルーンアートやってる人もいるぞ。
 アキラもそこを歩いているが男には目もくれず女の子ばっか見てる。当たり前だ。中身は腐れ童貞の負け犬底辺野郎のおっさんだから。
 いきなり女の子のスカートをすれ違いざまに捲り上げたりしてケラケラ笑う。
 頭のおかしい女の子だと思うが、痴漢だとか騒がれないし警察も呼ばれない。
「きゃあぁぁ、な……何、今の子? おっかしいんじゃない?!」
 くらいで終わる。それに相手よりずっとずっとレベルが上の美少女だから、連れに男がいても冗談ですまされる。なんという糞ビッチ的な発想か? これがおっさんだったら絶対男に殴られて警察に突き出されるのだが。
 綿あめ屋のおっさんがいたが、アキラは食べかけのアンパンを一つ差し出して上目遣いに可愛い声で言った。
「おじさん、このアンパンと綿あめ取り替えっこしてくれない? ちょっと齧っちゃったけど」
「ええっ? 齧ったぁ? し……しょうがねえなぁ」
っておい、取り替えるのかよ! アンパンは百円だけど、その綿あめ五百円だろがっ。それに食いかけだろが! と言いたくなるだろうが、可愛い子が相手だと値段の違いはどうでも良くなるんだな、これが。それに齧っているから間接キッスになるだろ?
これがおっさんにはたまらないんだよ。なんたる糞ビッチ的あざとい狡猾なズル助なんだ。
 そしてだいぶ食って減ってしまった綿あめをフレンチドッグのアンちゃんに差し出すんだ。
「お兄ちゃん、これあげる」
 これが普通の美少女だったら、ちょっと堅気じゃないアンちゃんは、
「ざけんなよっ、この雌餓鬼ぁあ。ちょっと面が良いからっておちょくるのもいい加減にしろ」
 とか啖呵を切って頭ど突くくらいのことはするんだが、今回の場合は普通じゃなくて、超超超の美少女だから、
「お……おうありがとよ。あっ、フレンチドッグ喰うか? 良いぞ良いぞ、持ってけ。ケチャップと辛子は多めだな。良いよ良いよ。三本でも四本でも持って行きな」
 とこういうVIP待遇になるんだなぁ、これが。
 


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