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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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従兄妹と嫉妬-3

「妬いてるのよ、そのお兄さん。」
「何巴ちゃん、藪から棒に。」

学校祭用のウェルカムボートのペンキ塗りを二人で黙々とぬりぬりしつつ会話し。

「そりゃー彼には小さい頃からよく可愛がられてたわ、彼あぁ見えてスイーツを作るのが得意で、私がドーナツ好きになったのも彼のお陰で。」
「態々従兄妹の学校にまで来ようとして、それに小鳥遊君の事まで聞いてきて。」
「別に深い意味なんて。」
「バッカねぇー、大好きな子の横の隣に異性が居るのよっ!?同じ制服で距離も近い故に恋敵なんじゃないかって確認してんのよ!」

恋敵って…。

「そもそも私と彼は親戚同士よ?結婚何か出来っこないじゃん。」
「甘いな、例えそうだったとしても。」

と、彼女が悟り出した所で。

「とーーもえー!」
「おうっ?あっ蓮。」

私たちの元に一条君が駆け寄ってきて、それもやけに上機嫌にスマホを握りしめ。

「どうしたのヘラヘラして。」
「来るんだよ!彼が!」

というと一条君は力強く自身のスマホに写っているある人のメール文章を私達に見せる。

「あらー。」
「……佐伯、君。」

メールの文章から青森の兄夫婦の家に住んでいる佐伯君が学校祭の知らせを聞き付け、私達に会いに来る…との内容で。

「そういやしばらく会ってないからなー。」
「ずっと前まで何かにつけてこっちに出戻ってたからねー。」

佐伯君、かぁー。いつ考えても懐かしいなぁー。彼を思い出すと最初の頃の自分を思いだして仕方がない。でもその事を思いのはやめないと、元彼の事考えれば今彼が傷つくのは明白。

「あたるが来ると、何だか全員集合!って感じだよねー。」
「そうだよねー。」

今まで私も、きっと皆も薄々思っていた筈、佐伯君が去ってから私たちの間でぽっかりと穴が空いた気分だと。

でもそんな事言った所で彼が戻ってくる訳でもないし、その事を考えるのはよそうって事となって。

「なら、このお祭りだけでもそんな空いた隙間を埋めるようにさ!」
「えぇ、それが良いわね。」

はぁー、幸せが一杯待ち構えている、もう最高だぁー。


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