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人類ポニーガール化計画
【調教 官能小説】

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第29話『牝馬!あるある大事典』-1


 11月○日。

 急転直下っていうのは、一昨日から今日にかけて起こったことが相応しい。

 学校から通知がきた。 あたしが軍直属の『軍馬養成所』にある『露馬養成コース』に編入が認められたって……驚きすぎて、しばらく息ができなかった。 普通は『裸馬』から始めて、ちょっとずつ鍛えて『露馬』になれるっていうのに、いきなり『露馬』にしてくれるエリートコースだ。 倍率は軽く30倍を超えている。 なんでもあたしがヨアンと一緒に出した作文が――軍馬ってカッコいいよねっていう気持ちを、只管大袈裟に書いただけなんだけど――コンクールの金賞になって、副賞で『露馬』にしてくれるんだとか。 しかも学校指定の作文コンクールだから、受賞拒否はできないらしく……要するに、あたしに断る選択肢は最初からなし。 お母さんがあんぐり開けた口ったら、マンホールみたい。 見ものったらなかったです。

 お母さん、残念! 貴方の娘は、どのみち立派なウマになる星の下に生まれたのです。 運命は変えられないのでございます。 あたしは、まあ、いきなりとはいえ前から決めてたことだし。 あくまで最終目的は軍馬だけど、裸馬よりは露馬の方が気持ちも入るから、渡りに船だ。 

 テスト用にプリント持って訪ねてきたヨアンに、こっそり教えてあげた。 ヨアン、目をパチクリさせて、めちゃくちゃ羨ましがってたよね、あれは。 ヨアンは騎手志望だそうだ。 だから、この調子だといつかあたしにヨアンが乗るようなこともあるかもよ、っていったら、絶対あたしに乗ってやるって、ヨアンのヤツってば息巻いてた。 ま、ヨアンが一人前になる頃には、あたしはもっと先に行って、ヨアンの階級じゃ釣り合わないレベルになってるつもりだけど……でも、あたしみたいな痩せっぽちに乗りたいって言ってくれたのは、素直に嬉しい。 あたし、知り合いを乗せたいなんて思ったことないけど、ヨアンだったら……うーん、どうかなぁ。 あたしのこと分かってくれてるし、鞭で叩いたり手綱を引っ張ったりするんだろうな。 でも、きっとあんまり痛くはしないだろうし……うへ〜、嫌っていったら嫌だし、恥ずかしいのは恥ずかしいんだけど……まあ、なんていうか、それはそれでアリかなって思う。

 ということで(?)、あたしは近日中にウマになります! いやー、運命が決まっちゃう瞬間なんて、呆気ないくらいで丁度いいよね。 ウジウジしてもしょうがないもんねぇ……ということは、ヒトでいられるのもあと一週間しかないわけで。 そうなってくると、急にヒトの暮らしに愛着が湧いてくるあたしは、きっと不思議ちゃんなんだろう。 お母さんも、もうちょっとしたら現実を受け入れてくれると思う。 俄然流れがこっちに来てる実感がある。 ちゃんとお別れして、頑張って。 どうせならメインストリートで4頭立ての馬車を引いていた軍馬みたいに、一番立派なウマになってみせる。



 ……。


 ウマ検定 認定試験

 市民生活と密接に過ごすウマについての知識を問う認定試験。 4級から1級(準2級、準1級)まであり、ウマ検定上級取得者は、推薦入試や就職に対して効果を発揮するよう制度化する。 履歴書にはウマ検定2級以上の記載を認める。 4、3級は筆記試験、準2級以降は筆記試験に加え、実地でウマに対応する実技試験を加味する。

 今後の社会ではウマとヒトが共生する必要がある点を鑑み、成人までにウマ検定準2級を、成人にはウマ検定2級取得が義務化される。 1年間の猶予を認めるが、期間内に取得できなかった場合、1週間の『ポニー調教』の受講及び『ウマ化情報番組』20本の視聴、感想文提出が義務付けられる。





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