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【調教 官能小説】

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透明の海-1

勾配を登った先に大構えな門が迫るように近づいていた。

「ちょっと、凄いんだけど」

膨大な敷地を伝える門構えを目前にわたしは驚くことしかできなかった。

「直人様 もうすぐ到着で御座います」

隣の直人は何かを告げるように頷き目の前の門が音を轟かせるように開いて、手入れされた美しい竹林のアプローチの勾配を登るように遠くに見える大きな屋敷に近づいているようだった。

「ちょっと、何なのこれ」

圧倒するように高く聳える大屋敷を見上げて呟くことしかできなかった。

「僕にとっては大切にしている景色なんだ。だから一緒に見ておきたいと思ってここに誘ったんだよ」

直人は不器用に震える声でわたしに教えてくれていた。

「凄いわ直人」

隣に座る直人は大きな屋敷を前に少し緊張するような瞳で目の前だけを見つめているようだった。

屋敷を目指す車窓からは呆れるほど広がる庭園を突き抜けるように石畳を進み景色に見惚れていたわたしは玄関に横付けされて停止したとき、ようやくの到着に気付いたところたた。

「着いたよ夏希ちゃん」

驚くわたしに優しく微笑んだ直人は玄関に向かう階段で頭を下げてわたしたちを迎える女性に近づくように降りるところだった。
玄関の階段でわたしたちを迎える女性は真っ白な制服を着こなした一流ホテルの従業員のような雰囲気で頭を深く下げたまま、わたしたちを迎えるようにそのときを待っているようだった。

「早くおいでよ夏希ちゃん」

直人はわたしを見つめて嬉しそうに笑ってくれていた。

「凄いよ直人」

それくらいしかわたしには言えなかった。車の扉を開けた運転手はわたしたちを促すように白い手袋を添えてわたしを導いてくれていた。

「お待ちして居りました直人様」

女性は頭を下げたまま直人の訪問を歓迎しているようだった。

「こちらは宮下千佳さんです。この屋敷を管理してくれている従業員です」

直人の世界はわたしの常識を完全に超えていた。

目の前の女性は欧米の女の魅力を制服に納めたような肉感で真っ白に輝くヒールに脚を揃えて姿勢よく頭を下げていた。

「お待ちして居りました」

頭をあげてわたしを見つめた女性は30代と思われる純粋な日本人の素顔だった。豊満な大人の色気を放ちながらも上品に佇む姿勢から厳しい訓練を受けた一流の接客を漂わせ、わたしには驚くことしかできなかった。

「日本じゃないわよここ。凄いよ」

欧米で沢山のお持て成しを受けてきたモデルのわたしに現地の欧米式な歓迎を日本で見せつけてきた直人に興奮するように話しかけることしかできなかった。

「此方でごさいます。脚元にお気を付けてお越し下さい」

そう言って階段を登る女性に牽引されたわたしは広い玄関の客席用ソファーに座るよう諭され「紅茶を用意してきますね」と優しい微笑で奥の部屋に直人と共に消えてしまっていた。

「凄いんだけど」

わたしは次元の違う直人の世界観に戸惑いながらも直人が見せたいと言ってくれた景色を楽しみに豪華で新しい屋敷に見惚れるように眺めながら、綺麗に着こなした全身の点検を行ってそのときを待っていた。


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