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きわめて自慰的なマゾ男の手記、あるいは散文詩
【SM 官能小説】

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きわめて自慰的なマゾ男の手記、あるいは散文詩-11

― 十二月  

サキュバスのいない部屋で銀色の燭台に灯した蝋燭の灯りが、窓から微かに吹き込む物憂い風
にゆれながら淡い光を放ち、籐の椅子以外に何もない部屋を淡く照らしている。サキュバスは、
私の前に透けたショーツで包まれた太腿のつけ根を開き、割れ目の窪みに光の雫を滲ませた。

その光の粒はショーツのなかを膨らませ、密生した漆黒の繊毛をまぶし、砕かれた宝石のよう
に煌めいている。私が彼女のその部分を見つめれば見つめるほど、光の破片は輝きを増し、色
濃く鮮やかに花開いていく。しっとりと濡れた陰毛の繁みに覆われた琥珀色の花びらから匂い
立つものは、私に美しい不朽の時間を与えようとしているのに私は彼女に入っていくことはで
きない。

サキュバスに対して存在する私の《形相(けいそう)》はペニスそのものだった。貞操帯の中で
萎縮し、壊死し、豆肉となった憐れなペニス。形相はサキュバスの匂いに操られ、彼女の窪み
に潜み、瑞々しい性の扉を開きながら服従の悦びと淫蕩の息吹を熟れきった肉洞に吹き込み、
彼女の麗しい窪みから蜜を啜りながら淫らな弔いを始める…。

サキュバスはこの部屋にいない。いつ現れるのかもわからない。私を戒める枷は棘の蔓となっ
て肌を刺し、サキュバスに対する私の形相は、寡黙な惑溺と苦痛の感傷によって研ぎ澄まされ
ていく…。

………


エピローグ…

そろそろ待っている女が来る時間だった。男は高層ビルの最上階にいた。部屋の大きな窓ガラ
スの前で佇み、煙草に火をつける。高層ビルの最上階から見わたす夜景は、十年前のあの頃と
変わらない。淫らな光に溢れた街が極彩色の渦を巻き、光の束となって戯れている。

陰鬱な翳りを孕んだ奇怪な責め具の調度品に囲まれた部屋…。秘密倶楽部の特別の会員だけが
使用できるSMルーム。首と手首を拘束する門型のギロチン拘束台、ピストンポール付の淫ら
なディルドが嵌め込まれた円錐台、開脚拘束椅子、垂れ下がる鎖の先には、電流線が埋め込ま
れたベルトの全身コルセット。そして、壁には縄の束と数種類の鞭、浣腸器、搾乳帯…。

手はずはすべて整っていた。隣のゲストルームに迎え入れた女と出会いの高級ワインを交わす。
祝杯…それが意味するものは、彼女が性の奴隷として彼の生贄になる記念すべき乾杯なのだ。
その意味をここにやってくる女は知らない。

女の名前は「谷 舞子」…そして、彼女は私のサキュバスだった…。


十年前、男がこの部屋で何度なく夢を見た女だった。ただ、夢を見ていたのが自分なのか、
あるいはもうひとりの自分であるkikuoという男なのかは定かでなかった。夢の中の自分はあ
のときもこうして彼女を待っていたが、結局、女がこの部屋にあらわれることはなかった。

あのとき、女は忽然とこの秘密の世界から姿を消し、コールガールのリストから削除されてい
た。男はそのことを知らなかった。そしてその後の彼女の行方を知る者は誰ひとりいなかった。
まさか、その女が「谷 舞子」だと気がつかなかったことに男は密かに苦笑する。彼は夢に
現れた彼女の顔を憶えていなかった。なぜなら、女は夢の中でいつも目元を仮面で覆っていた
のだから。

今夜、男は「谷 舞子」を手に入れることができる。すべては彼が仕組んだ罠だった。女に
kikuoというマゾ男の小説を書かせることも、そしてここに誘い出すことも…。



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