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特命捜査対策室長 上原若菜
【レイプ 官能小説】

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私だから伝えられるコト-5

若菜は一瞬下を向き、フッと顔を上げてから言う。
「お母様、私の過去はご存知ですか?」
雪子は柔らかな笑顔のまま答える。
「ええ。」
「そうですか。私は母を犯罪者の親にしてしまいました。今でも悔やんでます。私は田口徹と言う犯罪者への憎しみに囚われ周りが見えていませんでした。私は自慢の娘だとお母さんが胸を張れるような、そんな人間ではありませんでしたが、でも迷惑だけはかけない娘にかろうと思って生きて来ました。それなのに私は…。母は私が服役中に亡くなりました。親の死に目にも会えない、そんな親不孝な人間です。父の死に目にも会えませんでしたから、これ以上ない親不孝者ですよね。私は両親の墓前へ行くといつも謝るんです。一生悔やみ続けます。両親を犯罪者の親にしてしまった事を…。そして今、大切な人を奪った犯罪者を華英さんは憎んでいるはずです。私はあなたを犯罪者の親には絶対にしません。私の経験を伝えなければ私が存在する意味は全くありませんから。娘さんを私に預けて下さい。今でもそうでしょうが、自慢の娘だと胸を張れるような刑事にしてみせますから。」
若菜はまっすぐ雪子を見据えながら言った。雪子は笑みを浮かべたまま穏やかな口調で若菜に言う。

「お母様はあなたを犯罪者だなんて思っていなかったはずよ?だって自分の娘だもん。世界中を敵に回してたったとしてもお母様はあなたの味方だったはずだと思う。もし華英があなたと同じ境遇だったら、私も同じ気持ちだから。私もあなたを犯罪者だなんて思ってないわ?あなたのお母様が羨ましい。きっと自慢の娘だって胸を張って言えたんでしょうからね。フフッ、私も言ってみたいもんだわ、華英は私の自慢の娘だってね。」
「お母様…」
若菜は目頭が熱くなる。どうして母親と言うものはここまで偉大なのだろう…、自分は麗子や雪子のように偉大な母親になれるのだろうか…、そう思った。

「胸を張りなさい?だってあなたは警視総監なんだから!警視総監になった娘を自慢の娘だって思わない親なんていないんだから!ね?」
「お母様…」
若菜は涙を堪えるのが必死であった。そんな姿を見られたくはないだろうと感じた雪子は空を見上げて微笑んでいた。
「上原さん、娘を宜しくお願い致しますね?どんどん鍛えてやって下さい。宜しくお願い致します。」
深々とお辞儀をする雪子に
「はい。」
と、力強く答え雪子よりも深々と頭を下げた若菜であった。


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