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人類ポニーガール化計画
【調教 官能小説】

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第21話『挨拶我慢選手権』-1



10月○日。

 例の『PTC(ポニー・トレーニング・センター)』が完成した。 市内の模範センターらしく、自由に見学して構わないらしい。 そういわれたら、多少億劫でも初日に見に行くのが礼儀(?)ってもんだから、ヨアンと2人で遊びにいく。 ちなみに『ポニー』は『裸馬』より格下。 『仔馬』とか『ウマ入門』みたいなニュアンスだ。

 まず驚いたのは見学者の多さだった。 みんな、そんなにポニーに興味があるんだろうか? ポニーになりたい、というわけじゃないと思う。 『2ch』のペナルティに『ポニー調教受講』というのがあって、ポニーはあたし達にとって身近な罰だ。 自分が『2ch』で罰をうければどんなことをされるのか――それが知りたくてポニーの様子を見学する、みたいな動機じゃないだろうか? あくまであたしの予想ですけど。

 ポニーは全員が『鼻輪』を装着していた。 指輪くらいもある太いヤツだ。 管理役が教えてくれたが、ポニーはみな鼻隔に『C字型』の鼻輪を接着しているという。 鼻隔に穴を開けることはしない。 身体に傷を残さないよう、あくまでも特殊薬液での接着だ。 その薬液は鼻孔分泌腺液――要するに鼻水――と反応して強力な接着効果を産み、鼻が乾燥すると剥がれる仕組みなんだとか。 で、ポニーたちは鼻輪を『環状レール』に連結され、グルグル、ぐるぐる走らされる。 疲れて立ち止まってしまうと、鼻輪だけ前へ進んで鼻がもげそうになるため、絶対に止まることは許されない。 だいたい1セット2時間、約15キロ走らされるそうだ。 最初は足の動きや姿勢は問題にされず、とにかく許しが出るまで動き続けることに馴致される。 みんな鼻を引っ張られるせいで、鼻の穴がマックスだ。 中には顔の半分が鼻の穴なポニーもいて、みっともなすぎてギャラリーの失笑を買っていた。 ただでさえ大きい鼻の穴が、顔をつきだすようにして走るせいでサーチライトみたいに揺れるので、あたしもちょっぴり笑ってしまった。 走るのに慣れたポニーは、腿あげ訓練マシーンに参加し、10頭単位で調教を受けていた。 マシーンにのったポニーは、腰の高さに糸が張ってあるため、腿が糸につくまで足をあげながら足踏みを続ける。 腿が糸に触れないまま足踏みすると、参加者全員の脚から股間にかけて通電する仕組みなため、ちょっとのミスも許されない。 みなが背筋を伸ばし、慣れない腿あげに筋肉の張りを感じながら、平均して1時間、脚揚げ運動を継続していた。 

 他にも色んな設備があったけれど、人ゴミが凄すぎて気分が悪くなったから、今日はこの辺でお開きだ。 また改めてヨアンと見学に行くとして……あと1週間もすれば人も減っているだろう。 多分。

 『2ch』では『挨拶法』の番組が、やっと流れた。 待ちに待った番組だ。 『2ch』がないと、こちらも法律の威力が正確に把握できないし、対策のたてようがないからだ。 番組自体は、めずらしくハッピーエンドで、ちょっぴり物足らない。 1人目も2人目も、正直言って、同性からみても最低な女。 あんなの許さなくてもいいのに、どうして男性は最後に甘くなっちゃうんだろう? もどかしいというか、背中が痒い。 

 政見放送の『女性至上法(レディ・ファースト法)』の備忘録。 今後は『正式な場』、『オフィシャルな場所』――例えば官公庁や高級ホテル、高級ショップ、レストラン、ハイヤー、お召し列車等々――では、レディ・ファーストを徹底させねばならい。 即ち『男性』がドアを開け、女性をエスコートする。 女性は『自分からドアを開けてはならず』、『周囲の男性がドアを開けてくれる』のを待つ。 女性から男性に『ドアを開けて』ということは、結果として男性が女性に気を遣わせてしまったことになるため、認められない。 男性は自分から女性の事情に想いを致し、速やかにレディ・ファーストを実践すること。 ただし女性の様子が曖昧で周囲の男性がレディ・ファーストに気づかなかったとしても、罪には問わないそうだ。

 ……簡単にいえば、女性は公の場で『ドアを開けてはいけない』ということ。 ドアすら開けられないって、正直、人として終わってる。 もう女性であるより、いっそウマになった方が気が楽なわけで……女性万歳、人権万歳、あたしの人生に一片の悔いなし! ……って感じのワケワカメです。





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