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特命捜査対策室長 上原若菜
【レイプ 官能小説】

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暗黒面には落とさない-4

そう言って一度大きく息を吸い込み、ゆっくりと吐き出した若菜は神妙な顔つきで杏奈に言った。
「私ね、田口徹の事件を通して、ずっと違和感を覚えてると言うか、引っかかる事があるの。」
若菜の口から田口徹事件の事が出るといつも緊張が走る杏奈。未だに自分からは田口徹に関しての事を若菜に話す勇気はない。触れてはいけない、いや、話しづらい案件だからだ。本人の気持ちを考えると田口の事を掘り返すのは忍びないように思っている。杏奈は慎重に若菜を見る。
「何が引っかかるの?」
「うーん、話を切り出しておいてこう言うのも何だけど、まずは公にして個人的に調べたいのよね。」
言葉を濁した若菜に杏奈は不安そうな表情を浮かべた。
「若菜ちゃん…?」
若菜には杏奈が何を言いたいのかすぐに分かった。
「大丈夫よ。無理無茶はしないから。疚しい事をしようとしてるんじゃなくて、真実を確かめる為の事だから。ただ話を大きくしたくないだけ。その捜査に拳銃も武器も必要としてないからさぁ。」
「そう。ならいいけど…。」
生まれ変わった若菜を信用してない訳ではない。ただ生で田口徹との壮絶な戦いを見た杏奈にとっては、あの時の姿が強烈に脳裏に焼き付いていて心配になってしまうのだ。また、目の前で若菜の暴走を止められなかった事に杏奈は大きな後悔の念を抱いていた。もう2度と若菜にあんな事をさせる訳にはいかなかった。

「結局この事件の元凶は湯島武史が初めてレイプをした時に繋がってるのよね。湯島武史が美山静香さんをレイプした時から繋がってると思うの。田口徹もサーガも千城県、いや城南市が大きなポイントになってる気がするのよね。東京でサーガや白川歩美、不死蝶、同時多発テロと重大な事件が起こってるけど、やはりこの事件は城南市が中心になってるような気がしてならないの。きっと城南市には何かがある。今週中にこっちをある程度片をつけて城南市に戻ろうと思ってるの。」
田口事件の時、杏奈も城南市に滞在した事がある。世間ではレイプのメッカとされ続けている城南市は警察の杏奈にとってもあまりいい雰囲気は感じなかったし、出来ることなら近づきたくない街だ。今でもレイプ犯罪の発生件数は非常に高い街だ。女としては怖い街であった。
「大丈夫?危なくない?」
そう心配する杏奈に若菜は毅然と答えた。
「私が生まれ育った街だもん。いつかきっと小さな幸せで溢れかえる素晴らしい街を取り戻してみせるわ、絶対。」
そんな若菜に杏奈は素直に、素敵だな…、そう思った。


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