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人類ポニーガール化計画
【調教 官能小説】

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第15話『売笑オークション ウィップ・プライス』-2

 ……。



 『売笑オークション、ウィップ・プライス』

 番組冒頭。 街頭のCCカメラが捉えた映像VTR。 輜重兵が帰還するのを、門に繋留されて待っている『露馬』。 年端のゆかない少女が、やや年嵩の青年たちに囃されている。 少女は助けを求めるように辺りを見回すも、『露馬』と青年たちしかいない。 青年たちは、少女に『俺たちに苛められたくなかったら、露馬をぶんなぐってこい』と煽っていた。 既に少女は顔中に青痣を作っていて、青年たちから乱暴された名残だろう。 やがて少女は『露馬』に駆け寄り、ヘソを露出させた腹部を棒で叩いた。 青年たちが、ピィーッ、甲高い口笛をふく。 『露馬』はお腹に血を滲ませるも、特にリアクションすることなく、その場でジッと直立していた。 少女は更に3、4発お腹を叩いてから、全速力で逃げ出し、青年たちの下へ駆けよる。 青年たちは少女を迎えて『よくやった』『偉い偉い』『お前が殴った分は、お前の貸からチャラにしてやるよ』等と声をかけ、一緒にその場を立ち去っていった。

 画面が転換する。 番組司会者が、一軒の貧相な家屋を前にしている。 『あ、もうブイまわってます? それじゃそろそろいこうかな。 それにしてもクサいですねぇ、ここ……よくまぁヒトが住む気になれるよ、ホント……こんちわーす』 司会者はブツブツ文句をいいながら敷地に入る。 現れたのは、先ほどのVTRで『露馬』のお腹をひっぱたいた少女と、少女の姉と思しき20代前半の女性。 不審そうに煌びやかに着飾った番組司会者の様子を伺っている。 『あーっと、貴方リコさんで宜しい? リコ・マンゴルトさんを探してるんだけど』 少女がおずおずと頷いた。 『ちょっとこの映像みてくれるかなぁ。 4時間前のヤツなんだけど、ほらこのコ。 君と背丈がにてるコなんだけど。 何にもしてない『露馬』をひっぱたいてるんだよね。 お腹に擦り傷こさえちゃって、立派な傷害罪になるんだけど、君、このコに見覚えあったりしない?』 司会者がハンディカメラから映像を映す。 リコの顔色が青くなり、映像を横から覗いた姉も固まってしまう。 画像は明らかにリコ本人のものだった。 画質は鮮明で、人違いだなどと言い訳する余地はない。 『リコ……! あんたなんてことしてくれたの……!?』『だ、だって、ウマさんを殴らなきゃ、あたしを殴るってみんなが……』『露馬は叩いたらダメだって、あれほどキツくいわれてるのに!』『そ、そうなの? 嘘だよ、お姉ちゃんだって、ウマさんを苛めてたじゃない』『違うわよ! あれは裸馬で、イジメてもいいウマなの! リコのは露馬で、大事にしなきゃいけないウマッ!』『え、え、え……? う、ウマさんなんでしょ? どっちも裸なのに……い、一緒じゃないの……?』 どうやら少女は、ウマの区別も、制度の理解も、共に備えていなかった。 『じゃあ、いま画面に映ってるコは、リコちゃんで間違いないのかなぁ』『……間違いありません』 少女に代わって姉が答えた。 少女はといえば、瞳から涙を溢れさせ、上手く言葉を喋れないでいる。 『今の状況、わかってくれてる? 傷害罪は当然として、更に軍馬慰安法違反だから、一発アウトね。 ただ、本当は君が制裁対象なんだどう見ても未成年なんだよねぇ……』 そこまで喋り、チラリ、少女の傍らにて空を仰ぐ女性に向き直る司会者。 『このままリコちゃんだけ連れて行ってもいいし、保護者監督未達条項を適用することも吝(やぶさ)かじゃないの。 君に制裁を分担してあげてもいいんだよね。 あ、他の保護者を呼ぶ時間はないから。 いますぐリコちゃんは連れてゆかなきゃならないから、制裁を分担するなら、まあ、君とリコちゃんの2人ってことにになっちゃうわけ。 まあ私はどっちでもいいからサ。 いまから10秒以内に、一緒にくるかリコちゃんだけ連れてゆくか、どっちにするか君が決めてよ。 ね、お姉ちゃん』 姉をジッと見据え、司会者が早口で捲(まく)したてる。 『1、2、3……』『……行きます。 私も連れて行ってください』 司会者がカウントダウンするまでもなく、姉と思しき女性は即答した。 少女の小さな手は、つよく、きつく、彼女の掌を握っていた。

 画面転換、ステージではバニーガール衣装に木槌を携えた司会者が、客席に愛想をふっている。 『こんにちは、本日は私がオークショニアを勤めます。 みなさまには、ゲストが提供する様々な物品、権利、ガラクタの数々に値段を着けて頂き、ユーロにて清算させていただきます。 みなさまにおかれましては、どうせ配給制になった今では使道がないユーロですから、惜しみなく高い値段をつけてくださいませ。 購入金額の合計がウマへの賠償金に達した時点でゲストのオークションは終了いたします。 『賠償金』を『売笑』で賄うのが、当オークションの主旨でございます。 なお、購入金額は被害馬の同意を得ました上で、全額耳を揃えてポニー関連施設へ寄付されることを、予(あらかじ)め申し上げておきます』 オークションは、古来貴族の嗜みだ。 ゆえに司会者の振舞いも物言いも、1つ1つがくどい程に仰々しい。


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