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特命捜査対策室長 上原若菜
【レイプ 官能小説】

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ニューリーダー-8

「ただ、どうして私達が守られていたのか深くは考えませんでした。刑事の家族には危険が付き物だから守られてるんだ、そうとしか思ってませんでした。でも刑務所に入り色々考える時間があり、思い出を一つ一つ振り返っていた中で疑問が生まれたんです。ただの地方の刑事の家族に、あんな厳重な警護が果たして必要なのかな、と。もしかしてお父さんはただの地方刑事なのではなく、常に命を狙われる可能性があり、また家族に厳重な警戒を敷かなければならない程の大きな役割を担っていたのではないか、と。それにどこに行っても必ず父を知る人に出会う。特に東京に来ると。顔が広いと言えばそれまででしょうが、ただの地方の刑事にしては違和感があります。私の予想ではきっと父は公安として身分を偽り様々な場所に潜入捜査をしていたのではないかと思いました。日本全国。命を落としたのは麻薬がらみの捜査だった事から、父はきっと公安で麻薬捜査をしていたのではないかと思うんです。」
中居はグゥの根も出ないほどに叩きのめされた気分になった。まさにその通りである。正芳は公安で麻薬捜査のリーダー的存在であった。日本国内に留まらず麻薬ルートと思われる諸国にも出向き潜入捜査をしていた。中居は若菜が誰かからそれを聞いたのではないかと疑った。

「でも私は私の知らないお父さんを、今、知るつもりはありません。私の中で生きるお父さんの事だけ知っていれば私は幸せです。でもいつか本当の父の姿を知りたくなる時が来ると思ってます。その時は、東京タワーのおじちゃん…、宜しくお願いします。」
頭を下げる若菜に中居は涙を隠せなかった。
「大した子だ…、君は…。本当に大した子だ…。分かったよ、その時が来たら本当のお父さんの姿を教えてあげるよ。」
顔を上げた若菜はニコッと笑う。
「宜しくお願いしますね、おじちゃん♪」
「ああ。」
中居は思わず若菜の頭を撫でた。あの頃のように。懐かしい。中居にとってもかけがいのない思い出だ。一署長が警視総監の頭を撫でると言う暴挙をしている実感などなかった。中居は小さな女の子の頭を溢れんばかりの愛情を持って撫でるかのように撫でていた。

「さて、職務に戻ります。情報が色々集まってるかも知れませんから。」
「ああ、そうだね。」
「署長、束の間でしたが、テロに立ち向かう為に私は力を貰いました。スカイツリーにも私みたいにかけがいのない思い出を持ってる人はいたでしょう。私はその温かい思い出を踏みにじる人らは許せません。私は事件解決まで全力を尽くします。でわ!」
敬礼する若菜が凛々しく輝いている。中居はそんな若菜に輝かしい警察の未来を感じずにはいられなかった。

(不思議な子だ。そして誰よりも刑事として優れている。上原さん、あなたはとんでもない人材を警察に授けましたね。)
中居はそう思いながら若菜の姿を見つめていた。


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