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double-dealer
【学園物 官能小説】

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一瞬の違和感-2

「あんたが怒られたら、それだけ授業が遅れるでしょ。それ、すごい迷惑なの」


あくまで嫌々という体(てい)でノートを渡しているのに、飛坂は気にもしないで嬉しそうにそれを受け取る。


そして、満面の笑みで


「ありがとな、相馬」


と、お礼を言うのだった。


その屈託のない笑顔は、太陽のようにキラキラ眩しかった。


小さな頃から大好きな野球を続けている飛坂は、いずれ甲子園に行くと言う、大きな夢を持っていて。


勉強は苦手だけど、明るくて夢に向かってまっすぐな飛坂は、クラスでも人気者だ。


その笑顔のまんま、太陽みたいな存在感。


友美のような地味子にも分け隔てなく話しかけてくれる、いい奴である。


そう、友美のようにきっと裏の顔なんてない、いい奴なのだ。








放課後。


部活がない友美は、黙々と帰り支度を始めていた。


いや、部活がないというのは語弊である。


正確に言えば、友美は美術部に所属はしている。


ただ、活動は週2、集まっては適当に落書きして帰るだけで、帰宅部同然なのだ。


「奈緒、帰ろ」


そして、奈緒も同じ美術部。


部活に時間を割くより、勉強していた方がよっぽど有効だと言う彼女とは、友美と本当に気が合った。


だから、下校はいつも友美と奈緒は一緒。


奈緒が野々村と付き合ったと知った時は、もう一緒に帰れなくなると思ったこともあった。


でも、そこは純情カップルの奈緒と野々村だ。


一緒に帰るのは、お互い照れがあるようで、それは未だ実行されていない。


以前はよく見た、奈緒と野々村が会話をしている所(もっとも、会話というより喧嘩だったけど)。


今はそんな光景を見ることもないから、本当に二人は付き合っているのかとすら思えてくる。


だけど。


「うん、帰ろう!」


嬉しそうに自分に駆け寄ってくる奈緒を見て、やっぱり可愛くなったと友美は思う。


それだけじゃない、無邪気な笑顔の中に時折、妙な色気が出てきた奈緒の変化を友美はうっすら感じていて、その度に脳裏に浮かぶのは、やはり野々村の顔であった。


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