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【学園物 官能小説】

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底のない沼-5

今度は本棚の下段である。


こちらは、父親が集めている漫画本スペースだった。


几帳面な母と違って、父の占有しているのスペースは結構ゴチャゴチャしていた。


少年漫画が大半で、あとは週刊の漫画誌とか、青年漫画誌とか。


父は、テレビアニメもやっている長編の漫画が特にお気に入りみたいで、スペースの大半をその原作コミックが陣取っていた。


「漫画でもいいか……」


そう独り言を呟きながら、コミックを一冊とるけれど。


「なんか、この漫画の絵があまり好きじゃないんだよなあ」


すごくゴチャゴチャ描き込まれたその漫画。


全体に線が多いから黒く見えてすごく読みづらく、パラパラめくっただけで断念をしてしまった。


他の作品を手にとっては戻す、の繰り返し。


野球なんかのスポーツ漫画はルールがわからないから食指が伸びなかったし、ファンタジーもいまいち好みじゃない。


もっと簡単な子供向け漫画を読みたかった友美にとって、心惹かれるようなものは見当たらず、収穫なしと半ば諦めていた彼女は、最後に一番隅に置いてあった漫画雑誌を手に取り、パラパラとめくり始めた。


すると。


「何、コレ……」


今までの父の漫画コレクションとは明らかに毛色の異なるそれ。


やたら絵だけは上手くて、女の人や男の人が綺麗で見やすいんだけど……。


裸で抱き合うシーンがあって、それを見た瞬間、友美はそのまま電流を流されたみたいな衝撃を受けたのだ。


当時は、その漫画の中の男女がしている行為がセックスだとは知らなくて、ただ、互いの身体を触り合っているだけ、としか思わなかった。


でも。


目を閉じ、眉をハの字にした女の子の表情と、吹き出しに書かれた感じた声、それだけで友美は身体のどこかが熱くなるのをはっきり感じていた。


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