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【学園物 官能小説】

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底のない沼-3

「……でね、この構文なんだけど」


ラインを引いた教科書を広げ、何やら一生懸命わからない所を伝えようとしている奈緒。


けれど、友美はどこか上の空で、視線の先は奈緒の唇にあった。


ピンクの形のよい唇はツヤツヤしてて、リップでも塗っているのか、どことなく甘いグレープの香りがする。


そしてちょっと視線をずらしてみれば、奈緒の瞳が教科書を追っている。


(……まつ毛長っ)


伏せたまつ毛はバサバサしてて、これがマスカラやつけまつげなんかじゃない、自前のものだっていうからびっくりだ。


それに、眼鏡をしてるからわかりにくいけど、奈緒は目の形がすごく綺麗であった。


眼鏡とお下げのせいで地味子な奈緒だけど、ちょっと雰囲気を変えるだけで、実はかなり可愛くなると友美は睨んでいた。


きっと、野々村も奈緒のそんな隠れ美少女的な所を見抜いて付き合ったんだろう。


チラリと窓際を見れば、クラスの目立つグループの中で友達とバカ笑いしている野々村の姿があった。


野々村は、クラスに必ず一人はいる、悪目立ちするタイプの男だ。


授業は寝てる、体育の時だけ張り切る、掃除や給食当番は楽なものしかしない。


そんな悪ガキタイプの野々村。


友美ら真面目な人間とは対極にいる野々村と、付き合うことになったと奈緒から聞かされた時は、友美は腰を抜かすほどビックリした。


だって、あの野々村が、奈緒みたいな地味な女の子と付き合うなんて。


最初は、ずっとそう思っていた友美だったが。


今では野々村の目も確かだったと頷ける。


と言うのも、野々村と付き合ってからの奈緒は、すごく可愛くなってきたからだ。


まあ、元々素材はいい女の子だ。だからよけいにそう思うのかもしれない。


でも、本人には洒落っ気がないから、それがかえって微笑ましく思える。


真面目地味子と悪ガキ男。


そんな奈緒と野々村は、学校で顔を合わせてもあまり話しているのも見たことがなかった。


下手すれば、付き合う前のよく喧嘩をしていた頃の方が会話をしていたのかもしれない。


それを奈緒に言うと、彼女はいつも顔を真っ赤にして、『恥ずかしいから人前で話せない』と言うだけ。


だから、学校を一緒に帰ることもなければ、デートする事もないらしい。


(うーん、それって付き合ってるなんて言えるのかな)


付き合っているカップルは、他にも結構いるけど、みんなそれなりにカップルらしい雰囲気を出している。


一緒に帰ったり、放課後デートしたり。


そして、キスをしたり、エッチをしたり……。




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