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『秘館物語』
【SM 官能小説】

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『秘館物語』-6

甲高い声で最後の言葉を空中に放出した後、大きく背中が反り、宣言どおり望は果てを越えた。膣にはなにも手を出されていないことをみると、本当に肛門への責めだけで性の果てを迎えたらしい。だとしたら、童顔の少年を思わせる愛らしくも凛々しい顔立ちをした彼女は、一般的に言えば相当の“尻狂”ということになろう。
『―――…っっ! ――――――………っ!』
 声にならない咆哮を上げ、変種な性の頂に痙攣を繰り返す望。
 パールは既に、全てが身体の中から排泄され、映像ではわからない醜悪な臭気を立ち昇る湯気で表現し、汚液を纏って床を転がっている。
『っ!』

 シャッ、シャァァァァァァァ――――――………。

 犬のように這った姿勢で、大きく開かれた股間の深奥から、黄金色の滝が生まれた。同じ排泄器官に対する苛烈なまでの刺激が、姉妹器官の暴発を誘発したのだろう。
 そこに、“大崎望”という人としての尊厳はなにもなかった。肛門をぐちゃぐちゃに犯されて、まるで本当の獣のように、だらしなく小水を撒き散らす生き物の姿があるだけだ。
「………」
 だが、どんなに汚物と恥辱と苦痛の中にまみれても、彼女の瞳が褪せることはなかった。志郎によって何度も労いと思しき接吻を受けることで彼女は性の息を吹き返し、親愛を注ぐように、志郎の唇を求めるのだ。
 明らかに常軌を逸しているはずの行為に存在する愛。この倒錯の限りを尽くした世界にさえ、確かな情愛の存在があることに、浩志はもうなにも驚かなくなっていた。
(あ……)
 再び訪れた長いインターバル。さすがにもう終わりだろうと、映写機を止めようとした浩志の眼前に、またしても映像が飛び込んできた。
「え……」
 スクリーンを凝視する。
「………う、嘘だ!!」
 そして、浩志は愕然とした。最初の麗女とも、望とも違う、別の女性がスクリーンの中にいたからだ。
「碧、さん………」
 彼女のことも浩志は知っていた。
 香住 碧―――望と同じく、この館で働いているメイドである。性格は望と全く正反対で、優しく大らかな情愛に満ち、すこし間の抜けたところもあるが、それが愛らしい人。色々なことが重なって傷ついていた浩志の心を包み、そして、新しい憧れを与えてくれた女(ひと)。
「………」
 その女性が、スクリーンの中で白い布切れに身を包みながらもほとんど全裸に近い状態で何かを待っている。背景を見るに、どうやらそれは、外での撮影らしい。左右を深い森の緑に囲まれた、木漏れ日が灯りとなっている幻想的な空間。
「そんな、そんな……」
 美しさに目もくれず、明らかに動揺している浩志。なぜなら、その空間にいる碧は、顔を羞恥に染めながら、何かを決意したように頷くと、身を覆っている白い布を自ら取り去ろうとしたのだ。つまり、その裸体を今にも晒そうとしている。
 屋外で、映写機に向かって。おそらく、養父・志郎の目の前で。
「くっ!」
 浩志は耐えられず、映写機を止めた。もう、見ていられなかった。
 望の時にはどんな責め苦が彼女を苦しめようとも何も感じなかったのに、碧の場合はその裸身さえ凝視できなかった。彼の姿勢は、わがままな男の性と口汚く罵られても仕方ないだろう。
「………」
 しかし、浩志はいきなり突きつけられた現実の重さに、今まで見ていたものの内容が全て消し飛んでしまうような衝撃に、ひとり身悶えていた。
 今宵、外は嵐。それは、これからの時間を暗示するかのように、激しく窓に雨粒を叩きつけていた。


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