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「ガラパゴス・ファミリー」
【近親相姦 官能小説】

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前章(三)-8

「さっきは、誰を思い浮かべていたんだい?」
「えっ?」
「手淫に耽っている時、僕の名を呼んでたじゃないか」

 伝一郎が、底意地の悪い問い掛けをする。夕子は耳先まで真っ赤に為って、再び顔を埋め、今にも泣き出しそうな声で「そ……そんな、い、意地悪しないで下さい」と、訊くのを辞めてくれる様、哀願するのがやっとだった。
 未通女の新鮮、且つ過剰なる反応を垣間見る度に、伝一郎は心の底から喜び、嬉々とした表情を見せた──。他人の弱味を突き、反応を見て喜ぶ様は実に“気違い”らしい気質と言えよう。

「どうしてさ?僕との情交を頭に思い浮かべ乍ら、気をやってたんだろう」
「ど、どうして……?」

 夕子は、大きな瞳を更に見開き、仰天した面持ちで、伝一郎の顔近くに躪(にじ)り寄る。彼の言葉は正に、彼女の胸の内を見事に云い当てていたからだ。
 しかし、そんな事は彼にとって、造作も無い事で有った。

「夕子の様に、いやらしい娘の心は、手に取る様に解るんだ」

 茶化す様に答える伝一郎。だが、それは事実を語っていた。
 赤子の頃より実母、菊代との二人暮らしを強いられて来た事により、彼は年齢以上に女(おなご)の心情を推し量る術を、身に付けていたので有る。そのお蔭で小学校時代、他の男子が恐れ戦く三神晶子の琴線に触れ、唯一、その心情を知るに至ったのだ。
 胸の内を暴き出された夕子は、一瞬、たじろいだが、やがて口唇をくっと噛むと、悔恨の情を見せる。

「でも、……こんな風に、ふ、ふしだらな娘に私を変えたのは……坊っちゃまですからね」

 ──単に従順で無く、立場を越えて訴えて来る。それでこそ夕子で有って、愉しみ甲斐の有る玩具と言う物だ!

 切な気な眼差しが、言葉で言い尽くせない想いを物語る。伝一郎は、夕子の瞳を真っ直ぐ見据えたまま、微笑み、小さく頷いた。

「解ってるよ。夕子」

 しかし、その表情とは裏腹に、伝一郎は夕子の右手首を左手で鷲掴みにすると、強引に自身の股関へと導いた。

「嫌!、な、何を」
「しっ!静かに。大きな声を挙げると、怖い姉様達が此処に来てしまうよ」
「で、でも……」
「いいから。僕に任せて」

 夕子は、半ば無理矢理に、伝一郎の淫茎に触れる事と為った。
 寝間着越しとは云え、掌に伝わる勃起した淫茎の“剛直”なる感触は、未通女の身を竦(すく)ませるには充分過ぎる物だった。
 此れ迄、ひと回り以上、年上の女以外に肌を合わせた事がない者にとっても、年若い女給の見せる反応の全てが、新鮮に映る。それ故なのかは定かで無いが、実母の菊代で、初めて女を知った時の様な興奮を、自伝一郎は強く感じていた。

「どんな感じかな?男の一物に触れた感想は」

 伝一郎が、優しく問い掛ける。

「こ、こんなに大きな……本当に此れが、私の胎内(なか)に?」

 対して夕子は、好奇半分、不安半分な心境である事を口にする。すると伝一郎は、再び耳許で囁いた。


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