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スキャニング
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負の『一期一会』-5

男「言いたい事は山ほどあるが……お前は何者なんだ?なんで俺に、俺の家族を狙うんだ?」
デ「ブォッ ホッホッホッホ… ここだけの話ですがね、私にはチカラがあるんですよ。 スマホで人と話してると、その人が身につけている免許証とかカードとか、そしてスマホそのものとか、いろんなモノのデータが走査解析(スキャニング)したように、心の中に入ってくるんですよ。そんなチカラがあるんですよ。」
男「それがホントかウソかはともかく……何で俺なんだ?」
デ「ブォッ ホッホッホッホ… 以前からこのチカラを自分でもわかってたんですが、一度本格的に試してみたくてウズウズしてましてねぇ〜。そこへあなたみたいな悪い奴が詐欺電話をかけてきたものだから、思うぞんぶんチカラを発揮させていただいたんです。」
男「悪い奴……たしかに俺はそうだと認める。だけど娘も妻も関係ないじゃないか。」
デ「ブォッ ホッホッホッホ… あなただって、相手の家族のことなどかまわずに、手当たり次第に電話してるクセに、よく言えますなぁ〜。」
男「……やめてくれ。俺はやめる。警察に行ってもいい。」
デ「ブォッ ホッホッホッホ… 何を言うんですか。あなたが警察に行ったら、私も共倒れでしょう。私は まだまだシャバに未練がありますからね。遊ばせてくださいよ……おや、タコサクさん?」
男「何だ?」
デ「あなたが今ごらんになってるのが、あなたの家ですかな?」

男はハッとした。男は通話しながら無意識のうちに、マンションの自宅の窓の灯りを見つめていたのだ。
デンベエは一言残して、通話を切った。

「あれならピストルの弾は、軽く届きますな。」


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