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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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優しさに触れ…-5

こんな事なら別の場所で勉強をすれば良かった、今更そんな後悔をし出し。

どうにかして彼を救ってあげたい、でも私に何が出来るのでしょう、おばさんに聞く、いや高い確率で居場所何て教えてくれない、ではこっそりおじさんの奴の単身赴任先を調べて、いやそんなこそこそと、見つかったらどうする?直接彼を問い詰めてやろうにも無謀過ぎる、あれだけしつこく浮気をするんだ、今更私が突然押しかけてギャーギャー言っても無理でしょう、増して風馬君とおばさんだってそんな事望んでない。

彼は私に良く言ってくれた、君を幸せにするって…、私だって同じように君の事を幸せになって欲しい、あんな風に泣いた顔何て見たくもない、ずっと無邪気に笑っていて欲しい

でも本当に私なんかに何が出来る?

「やめてよ!お母さんっ!」
「っ!!」

トイレに行こうと階段を降りたら居間から響く彼の声、何?

「風馬…、でもこればっかりはもう無理、限界なの。」
「だからって!」

テーブルに手を置き、やつれた表情のおばさん、そんな彼女に青ざめた必死の表情で見つめる風馬君、テーブルの上には一枚の紙きれが。

「こないだね、お父さんと話したの、と言っても私がしつこく電話してやっと出てやったって感じだけど。」
「……。」
「そしたら言った、いや認めたわ、自分がしてる事を、もうこのまま家には戻らない、もう疲れたんだっ!って開き直って…。」

まさか…。

「もう、戻れないの?あの頃みたいに…。」
「御免ね風馬、貴方はお父さんの事大好きだったのにね。」
「うっ、うう…お父さん、お父さん。」

この感情、何処かで全く同じ思いをした気が。

不意に佐伯君を思い出す。

佐伯君のお父さんも酒ばかり飲んで、父親らしい事は何一つせず、彼を苦しめ。そして彼の父親もまた浮気を繰り返して挙句…離婚。

私は急に男の人が信用出来なくなってきた、自分勝手で大切な人の事何てまるで考えない
傷つけ苦労かけそして泣かしても尚罪悪感に気づこうともせずに…。

子供の頃、優しくしてくれたイメージはもはや崩れた、許せない…出来る事ならぶん殴ってやりたい!…でもそんな事した所で…。

「分かった!もういいよ。」
「風馬?」
「そんなお父さん何てもう要らない、別れて正解だよ。」
「…でも。」
「自分に興味ない人にしがみついたって意味がない、それだったらもういっその事切り替えよう!」
「…本当に御免なさい、浮気の件だけならお母さんだけが傷つくだけだけど、それがエスカレートして知らない女に貢いでそのせいで家にお金が減り、アンタに満足な食事や小遣い、……何よりアンタがバイトしたいって言い出した時何て、もう…。」
「お母さんのせいじゃないって!お母さんが傷つくなら僕だって傷つく。」
「風馬…。」
「バイトだって気にしないで、家族で助け合うの何て当たり前じゃん!食事だって自分の分は少なくしてるけどそんな事してくていいよ!」

力強い言葉で母親を励まし、そして抱きしめる。

「これからはもっともっと働いてお母さんも美味しい物食べなよ、そしてラクさせてあげるから。」
「うっうっ。」
「家の事、将来の事、これからは二人で頑張ってこ…ね?」
「……うん。」

強くてしっかりしていて、家族の事友達の事、将来の事を考え、皆が良い方向へ進むようにしてくれて本当に優しくて良い人。

裏切られ捨てられても尚懸命に生きようとする親子の姿に私はますます決意が固まる。


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