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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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素敵な誕生日…な、筈が-8

「ハッピーバースティー♪」

放課後、私は風馬君に半ば強引に巴ちゃんの家へ連れられ、自分でも忘れていた誕生日を祝ってもらった。

天井やカーテンなど周辺には派手な飾りつけ、テーブルには巴ちゃんとその母親が精一杯作ったであろうケーキにそしてドーナツ、ポテトやシチューなどのご馳走がずらりと並べられていて。

三人とも私を祝おうと素敵な笑みを向ける…、本来なら皆に感謝しとっても嬉しい筈なのだが、皮肉にもそれら全てが今の私にとっては裏目に出て、うっとおしいとしか思えず。

「ささっ柊さん!何か一言被害者に。」
「阿保!取材陣にマイクを向けられる犯罪者か。」
「………。」

主役でもない二人が盛り上がる、私は彼の問いに何も答えない。

「ほら若葉!折角だし楽しもうよ、ほらアンタの好きなドーナツ。」
「要らない!」
「若葉…。」

彼女がドーナツを差し出すも思わずパンと弾き飛ばし。

「何怒ってるのよ、皆アンタの為に…。」
「そうだよー、若葉ちゃんがどうやったら喜ぶか皆で考えて。」
「皆?皆って誰よ!?」

普段温厚な私が怒鳴り、三人ともぎょとする。

「…誰ってそりゃー。」
「佐伯君とか?」

あまりにもぐずぐずするもんだから肝心な事を先に口にする。

「うん!彼は君の元彼だからね、色々と話せて良かったよ。」

一昨日の自宅前での会話を思い出す。

「でも良かったよ、これで君の事も相談出来たし、佐伯君ともまた声が聞けて。」
「…何よ、それ。」
「え?」
「そんな事言って本当は彼とお話がしたかっただけでしょ?私の誕生日何かただの口実で
あの後二人でまーたいちゃいちゃしてぇ!」
「何言ってんの?そんな事してないよー。」
「嘘!いい加減にしてよ!あれほど言ったのに!この浮気者!嘘つき、変態!」

溜まりに溜まった怒りを全てその原因に当たる彼にぶつける。

そして終止固まるこの誕生会。

「…そっちこそいい加減にしてよ!何?一条君も伊吹さんもそれに佐伯君も君の為に。」
「誕生日やるならやるで。」
「それはっ!…佐伯君だって本当は参加して欲しかったけど彼は青森で。」
「何よっ!!さっきから佐伯君佐伯君って!そんなに彼と居たい訳!?私何かよりも。」
「違うよ!お願いだから信じて!僕が好きなのは若葉ちゃんだけだよ!!」

うわぁー、浮気男が言いそうなセリフだ。

「そんな浮気者の君に良い物見せてあげる。」
「えっ?」

すると私は昨日ケータイで撮った写真を風馬君に見せつける。

「……っ!!なっ、何だよこれっ!」

それは私と嘗ての恋人佐伯君がベンチでキスをしている禁断の写真。

「どうもこうも、そういう事よ。」
「酷いよ!僕と言うものがありながら!」
「良く言うよ!自分が今してる事はこういう事よ。」

心臓に鋭利な刃物で刺されるくらいにショックを受けてる。

「ちょっと、若葉!」
「…う、ううっ、どうして…。」
「それはこっちの台詞よ。」
「酷い、酷いよ…うっうわぁぁぁぁぁぁんっ!!」

始まったよ、男のくせに…この前の決意はなんだったの?そのまま号泣し出し、家を飛び出し、それを追う一条君。

もう、自分でも何が何だか分からなくなってきたような。


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