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なりすました姦辱
【ファンタジー 官能小説】

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第四章 漂着した恋人-6

 何を考えているのだ。あの男は自分の動画を撮り、脅迫して、イヤラしい淫欲の捌け口にするような卑劣な男なのに。
 内股に脚を閉じ、身を丸めて自分の体を抱きしめた。昼休みはまだもう少しあった。午後のレッスンに備えて少し眠り、頭を醒まそう――
 スマホが震えた。画面を見た瞬間、短い悲鳴が漏れたが、同時に閉じ合わせた脚の間にジワッと甘い波紋が広がった。
 ――同じ場所に、同じ姿で土橋はいた。
「なんでまだ……」
 胸に痛みが走る。とっくに帰ったと思っていたのに、という驚愕が大半。だが僅かに嬉しさの甘みも混ざっていた。
 室外機の死角に呼び寄せられる。
 何考えているんだ――頭の中で、スタジオの鏡に映った自分が非難にしていた。
 だが今、鏡はここにはない。気づけば強引に回れ右をさせられ、簡単に前屈ポーズに応じてしまっていた。
「染みてるぞ? 真璃沙」
 ジャージを無遠慮に下げられて、真璃沙も気づいていなかったスポーツショーツの落ち度を指摘された。午前は恬淡としていた土橋の声に、粘り気のようなものが加わってきている。真璃沙は羞恥と期待の両方に震えて、地面へ向かってバラけて垂れる金色のポニーテールを揺らした。
 真璃沙の欲情の印を見つけた土橋だったが、その濡れ染みを愉しむことなくスポーツショーツを引き下ろし、またのっけから先端を秘門へと当てがってきた。
「次は何時から?」
 ヌブッ……、亀頭を入門させつつ問うてくる。
「うあっ、い、一時……んっ」
 男茎によって二時間ぶりに体を広げられた真璃沙は、屈んだ格好のまま苦しげに答えた。
「濡れてるな、真璃沙?」
 狭い蜜道をゆっくりと往復してくる。深い鰓が弾いた蜜壁から小さく湿音が立つ。その蜜の音は稼働する室外機に消されて外気からは届かなかったが、性感とともに体の中を伝わってしっかりと聞こえていた。
「……。い、一時、まで、あ、あと、な、何分……?」
 いったいこの苦悶にあとどれだけ耐えなければならないのか。思わず真璃沙のほうから問うていた。
「真璃沙が戻る時間を考えると……あと一分かな?」
「そ、そん……」
 まだそんなにある。
 ――もうそれだけしかないのか。
 どちらが口を突いて出そうになったのか自分でも分からない真璃沙を、土橋は残りの一分間、ゆるゆると変わらぬペースで往復すると、またもやあっさりと秘門から抜け出ていった。
 仕方なく急いで戻った。午後のレッスンが始まる。四十五分トレーニングを続けるていると、やはり気分が落ち着いきて、自分のやったことがたまらなく羞しくなってくる。
「はい、そこで、スマイル!」
 溌剌とした笑顔を作ったつもりでも、鏡の中の自分が嘲ってきているように思えた。
 さっきまであんなことをしておいて、何笑ってんの? エロバカモデル。
(バカ、じゃない。私はバカじゃない。ムリヤリ、ヤラれてるんだもん)
 休憩が告げられ、首筋に滲んだ汗を拭った真璃沙は、そのまま顔を覆ってタオルの中へ言い聞かせていた。
 しかしバッグからスマホを取り出すと、やはりメッセージが入っている。行かなければならない……、いや行きたい。真璃沙は休憩になる度に屋上へ行き、吸殻が何本も転がるコンクリートに手足を付いた格好で男茎を抽送された。亀頭が侵入するごとに真璃沙の蜜の量が増しているのに、土橋は意に介さず、黙ったままスピードを変えずに律動を行ってきた。そして真璃沙がショーツとジャージを引き上げ、身繕いをする時間まで計算に入れて、潮時になると未練なく男茎を抜き取って解放するのだった。
 犯される、レッスンに戻る、鏡と対峙して正気が戻る、羞恥に苛まれる。その繰り返しだった。ただし秘密の休憩を繰り返すうちに、煩悶が正気が戻るまでの時間はだんだんと長まっていった。レッスン時間がひどく長く感じられ、休憩時間が恐ろしく短く思えてくる。
「ほらっ! もう疲れたの? そんな体力じゃやってけないよ! 集中!」
 体に力を入れられずミスが目立つ真璃沙を、疲労と勘違いしたコーチが鼓舞する。
(っさいっ、早く終われよっ)
 ジャージの中は熱く蒸していた。特にスポーツショーツの中が。
 夕刻、最後のレッスン中は、真璃沙はもう終了時間のことしか考えられなくなっていた。
(そういえば……、途中から土橋のメッセ来てない)
 土橋の呼び出しメッセージは来着しなくなっていた。なのに真璃沙は、当然のごとく屋上へ向かい、回れ右を指示されたら、自らジャージの紐を解いて前屈していた。
(わっ……)
 その事実に気づくと、これまでじわじわと染みていた蜜がドクンッと溢れた。ショーツを超えてジャージまで染みたかと危ぶまれるほどの分泌だった。
 壁の時計を見る。長針は明らかに終了時間の目盛の上に乗っていた。なのに、まだ終了が告げられない。
「最後! ほらっ、最後集中だよっ!」
 集中、集中うるさい。
 真璃沙はヌメる内ももをクロスさせてポージングを決め、偽りの笑顔を鏡の中に映した。


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