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なりすました姦辱
【ファンタジー 官能小説】

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第三章 制裁されたハーフモデル-4

「そ、そうだよ……。……そうです」
 女は目を合わせず、携帯の時間をもう一度確認すると、はあっと溜息をついて顔を上げ、「先生、あと任せていいよね? 私、遅れそうなんで行きます」
 そう言って足を階段に向け始めた。
「あ、あのっ」
 勝手に場を去ろうとする女を駅員が呼び止めようとしたが、振り返りもせずに、
「もういいっ!」
 と叫んで、更に足を速めて歩いて行った。
「こらっ、この人に謝り……。……すみませんね」
 女が人混みの中へ消えていくと、中年男が何故か保彦に謝った。呆気に取られていた駅員だったが、
「あの、じゃ、駅務室に……」
「ちょっ、もう間違いだってわかったじゃないですか!」
 保彦が抗ったが、
「いえ、でも一応……、こうなってしまったので」
 ホームで発生した、こんなに野次馬が集まってしまった事案を自分だけで処理してしまう責任を負わされるのが嫌だ、そんな様子が伝わってきた。保彦が掴まれていた袖を振り払い、
「嫌ですよ、何で――」
 拒否しようとすると、中年男がポンと肩を叩いた。
「まぁまぁ……、ここで居なくなったら、後になって何か厄介なことになるかもしれませんよ? ここはひとつ、駅員さんの言う通りにして、キチンと対処されたほうがいいと思います。私も一緒に行って詳しく説明しますから」
 男の言うことももっともだが、百貨店の開店時間が……。
「すぐ終わりますから」
 しかし駅員にそう言われて促されると、保彦は渋々従うしかなかった。被害者はもう構わないと言っていなくなったのだし、男の証言だってある。事務的な処理で済まされてすぐに解放されるだろう。
 そう考えて了承したのに、話が違った。
 ホームで話している間に通報が入っていたのか、駅務室に入るのとほぼ同時に警官が二人やってきた。駅員から経緯を聞き、苦笑いしている。そう、警官も困惑する通り、女は立ち去ったのだから、そもそも「被害者」なんていないのだ。じゃもういいですよ、すぐにそう言われるはず。どうしたらいいか無線で確認していた若い警官が頷いてから、待っていた保彦と男へと近づいてきた。
「……お二人、ちょっと署で話だけ聞かせてもらっていいですか? ここからすぐですから」
 意外な要求に保彦は驚いて警官を見た。彼は柔和な笑みを浮かべながらも、目の色は高圧的で、拒絶を許すつもりはないようだった。隣の男を窺うと肩を竦めて立ち上がった。
 さ、お前もだ、そんな目を向けられて、保彦も不承不承に立つしかなかった。
 昭和通り沿いに出ると、ランプを灯しているパトカーに乗せられた。何故乗らなければいけないのか抵抗感があったが、やはり警官は拒絶を許さなかった。しかも乗る必要があったのかと思えるほど警察署は近く、歩いてでも行ける距離を走ってすぐに着いた。
 まるで犯罪者のような扱いに憤ったが、署の入口近くの壁に洗面台が設置されており、填め込まれた鏡に自分が映っているのが目に入った。
 相変わらずの醜貌。労働年齢なのに、平日の午前中にもかかわらずTシャツにジーンズ姿だったのが、かえって怪しまれてしまったのかもしれなかった。
 ドラマで見るような取調室ではなく、会議スペースのような場所で、ちょっと話し聞かせてくださいね、とボールペンを持った警官と対座させられた。保彦を救ってくれた男とは引き離され、一人だった。
 身分を詳しく問い質されると不味いな、と思っていると、住所氏名から訊かれる。都度答えるのではなく免許を見せると、免許証番号を控えられ、次に職業を訊かれたから、会社名も休職していることも正直に答えた。
 休職の理由を詳しく訊かれるとあやふやになるから身構えたが、警官はそこには全く触れず、電車の中でのことを確認し始めた。
 どこから乗ったか。車内では何をしていて、上野で降りる際はどのようにして降りたかを逐一尋ねられた。
 保彦は記憶通りに答え、記憶にない場合は憶えていない旨を伝え、記憶が曖昧で自信がない場合は、そう前置きした上で話した。嘘をつかないように気をつけた。
 話しているうち、同じ事を二度訊かれ、
「それはさっきもお話しましたよ」
「え、そうでしたか? でもすみません、もう一度話してもらえます?」
 警官は大して悪いとも思ってなさそうな素振りで譲らなかった。きっと間を置いて同じ事を問い、言っていることに齟齬がないかを確認しているのだ。
 少しでも早く解放されたくて素直に応じたが、結局小一時間も話をさせられた。尋問が終わると、別の警官が見張っている待合いの長椅子で少し待てと言われる。先に戻っていた男が座っていた。
「……まったく融通が利きませんねぇ、警察ってやつは」


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