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なりすました姦辱
【ファンタジー 官能小説】

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第二章 報復されたシングルマザー-29

 しっかり立てよオッサン。そう罵ってやりたかった。
 しかし、太ももの肌を突っついた感触と、垣間見た股間の尖りが頭の中で一致すると、ゾゾゾという悪寒が真璃沙の背中を駆けた。
 とにかく外に出たい。
 ドア前に立っているにもかかわらず、降車する人のために一旦ホームに降りない馬鹿がいる。
「すみません! おります!」
 人を掻き分けて進む。別の方向からも降りようとしている人で詰まってしまった。なのに後ろから押される。
「わっ!?」
 また脚にツンと当たった。振り返ろうとしたが、出口に向かう人波でできない。その間にも背後から身を寄せられて、太ももから脚の付け根へとグイッと硬いモノが押し当てられた。
 明らかに意図的に体に押し当てられている。
(うわうわうわ、もうやだ)
 逃げるしかない。真璃沙は、すみません降ります、と繰り返して出口を目指した。ホームまでには最後の人壁があって、側方から先に辿り着いた人が降りようとしていたが、僅かにあった空間に長い脚を大股に踏み出した。
 ミュールがホームについて、よかった、やっと出れた、と後方に残した脚を引こうとしたその時、
「うっ!」
 一瞬の出来事だったが、下劣な手は下から上にヒップの丸みを撫でただけではなく、最後にショーツパンツごと、果実をもぐように掴んだ。
 真璃沙は勢い余ってホームの上でよろめいた体勢を立て直し、後ろを振り返った。ちょうどあの男が人を掻き分けて降りてくるところだった。
 男は素知らぬ顔をしていた。
 卑劣な痴漢行為をしておきながら、何事もなかったかのように……。
「ちょっと! オッサン!」
 誰が見ているか分からない。モデル業は人気商売だから、トラブルはすぐに人の口端に拡散してしまう。まだプロにはなっていないとはいえ、普段から自粛すべきだ。
 そう懸念したのは一瞬だった。
 何故、被害者の自分が商売道具にしようとしている体を許しもなく触られて、泣き寝入りしなければならないのだろう?
 激昂で懸念は吹き飛び、真璃沙は歯止めが効かずにホームに降り立って息をついている男に食ってかかっていた。





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