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なりすました姦辱
【ファンタジー 官能小説】

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第一章 脅迫されたOL-23

 大学に入ってから、それなりの数の女たちと軽い付き合いをした。東京で一人暮らしを始めてみれば、黙っていても女のほうから寄ってきたから容易くヤることができた。
 特定の彼女を作るのは、色んな女を経験するためには邪魔だと思っていた。だが或る会計事務所に短期バイトに入った時、事務のサポートで入っているのに、清楚で理知的な容姿から何故か受付卓に座らされていた愛梨と知り合った。最初はてっきり、容姿だけを理由にどこかの派遣会社から送り込まれているのかと見くびっていたが、話してみると、実は保彦と同じように期間バイトで、都内の有名女子大に通っている子だということが分かった。改めて見てみると、ルックスだけでなく、洗練された立ち居振る舞いにも合点がいった。
 とにかく育ちがいい。
 なので最初は警戒していた愛梨だったが、本気になってしまった保彦に口説かれていくにつれ徐々に気を許してし、何とか最終的には付き合うことができた。
 愛梨にとって自分が人生で初めての恋人だった。手を握らせてもらうのは割と早かったが、キスまでは時間がかかった。処女を許してもらうには、それから更に半年を要した。保彦にとってみれば、これまで飲みに誘って追いてきてくれる女はだいたい即日ヤれたから、普通に考えれば面倒臭い話だった。それほどまでに愛梨に本気になっているのだと自分でも感心した。
 自惚れではなく、おそらくは愛梨も自分を本気で愛してくれているだろう。箱入り娘として育てられたとはいえ、相応の歳になれば様々な情報が耳に入ってくる。
 だから愛梨が生理の時に、保彦が鬱屈を訴えれば、「好き合っていれば手と口で愛してやるのも当然だ」という前知識をもとに、赤面しつつ、気持ちいい場所を伺いながら、ぎこちなくもかいがいしいフェラチオを行ってくれた。最近では正面から保彦に掴まり、上位になって自ら腰を揺する大胆さまで見せてくれるようになっている。このままもっと愛を深めて育んでいけば、照明をもっと明るくして愛梨の官能の姿をはっきりと見せてもらえるかもしれないし、四つん這で背後から保彦を受け入れる体位も許してくれるかもしれない。
 淫夢を見た時と同じくスーツの中で男茎が膨張してきた。
(愛梨……)
 恋人の名を呟いた時、はたと気づいた。
 残念ながら愛梨の携帯の番号は憶えていない。メッセージアプリのIDも諳んじることはできない。
 しかし愛梨が別のSNSもやっていたのを思い出した。好きな北欧食器とお菓子についてツイートしている。
 保彦はスマホのホーム画面に戻り、専用アプリを探したが、土橋はやっていないのか、入っていなかった。
(そんくらい入れとけよ、オッサン)
 そう毒づいて、アプリをインストールすると、自分のIDをパスワードを入力してログインした。
「よしっ」
 個人ページが表示された。当然だが、最後に呟いてからは何も表示されていない。画面を移り、相互承認しているユーザーの一覧を表示した。愛梨を探してスクロールしていく。
 相互承認しているユーザーは数多くいたが、最下までスクロールしてしまった。見落としたか? 保彦は再度、上に向かってスクロールさせた。
 いない。
 そんな馬鹿な。
 このアプリで連絡を取ることはないから、間違って消してしまったのか? そんな記憶は全く無い。
 保彦はウェブ画面に戻り、愛梨のIDは憶えていないから、北欧食器の有名工房、お菓子の名前など、語句に工夫をして検索にかけた。容易く見憶えのある愛梨の個人ページへのリンクが見つかる。
 フォローしている、されている、それぞれの一覧を探した。やはりそこにも自分は居なかった。
 土橋が消したのか? いや、奴にはログインできない。できたとしても何のために消すのだ?
 仕方なく愛梨をフォローしなおし、
『ヤスヒコです。フォローおねがい。連絡をしたい』
 この際、公開メッセージでも仕方なかった。
 ――電車のドアに凭れたまま、アプリの画面を開いた。これだけ時間が経ってもまだ愛梨からはフォローが返されてされていなかった。もう送ってから随分経つ。何をやっているのだろう。
 車内の子供の能天気な歓声が大きくなった。そして愛梨の無反応。
 半日の無為が、ますます保彦を苛立たせた。
 今日、保彦は東武線から地下鉄経由で上野まで出ると、山手線で池袋に向かって西武線に乗った。もちろん、自分の家を目指したのだ。


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