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特命捜査対策室長 上原若菜
【レイプ 官能小説】

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面影-4

若菜の棘には『あなたが例え真っ当な人間であっても100パーセントは信じませんよ』と言うメッセージが込められていた。そのメッセージが下條に届いた事を感じた若菜はニコッと笑ったのであった。
「犯人逮捕には至りませんでしたが、湯島武史が起こした事件に関しては様々な情報が県警本部に集まり情報の共有化が出来ていたようです。なのに捕まらなかったのは、湯島武史が手にかけた女性達は、いわゆる世間から煙たがられていた方々が多かったから。彼女らに被害に遭っていた人達からみれば湯島武史はある意味ヒーローであったに違いない。だから犯人が湯島武史だと知っていても情報を提供しなかった。だから最終的に湯島武史の元にたどり着けなかったと分析してます。但し情報は風通しが良かったし、スムーズに共有できた。でも田口徹の事件の時は、ホント、情報がスムーズにあつまらなかった。それが原因でなかなか田口徹を捕まえる事が出来なかった。田口徹は湯島武史からレイパーへの道に誘われた事は捜査で分かってる。しかし田口の場合、手にかけた女性はほぼ無差別。そこが湯島武史とは違いヒーローになれなかった点。ま、本人はヒーローになんかなりたいとも思っていなかったでしょうがね。田口の場合は後から情報はたくさん出てきたけど、リアルタイムで共有化がスムーズに行かなかった。その風通しの悪さは今回のサーガの件と酷似している。それは偶然ではなく、田口徹の時に共謀していて戦略を練っていたのがサーガだとしたらどちらも意図的に警察をそういう情況にしていると言える。」
下條はその答えを知っていた。探りを入れるような視線を感じた下條はすぐに答えた。
「広域捜査の盲点、ですね。」
若菜はニコッと笑う。
「そう。湯島武史の時は全捜査が千城県警によって行われた。でも田口徹とサーガの場合、福島、千城、東京、京葉と複数の都道府県警が関わってる」
「どこの県警も自らが手柄を得たいですからね。重要な情報は他県警にそう簡単には渡さない。」
「そう。だから広域捜査は難しいのよ。以前北関東で起きた連続幼女殺害事件がその代表的な例。群馬、千城、埼玉にまたがったこの事件は情報を共有する事が出来なかったから故に誤認逮捕を引き起こした最大の事例。当時の未熟なDNA鑑定に頼りすぎて最近誤認逮捕だったという事で犯人とされた人物が釈放された。となると犯人はさらに犯行を繰り返している事だってあり得るし、5件あった幼女殺害事件のうち3件は供述以外の物的証拠は出ていなかったのにも関わらずDNA鑑定と供述のみで立件してしまい、それを認めた裁判所のミス。もし3件が他の犯人が起こした犯行であったなら、全然連続幼女殺害事件は解決していないのに、強要した供述のみを証拠として犯人に仕立て上げてしまった警察の取り返しのつかない大きなミスとなるし、そうなった。結果真犯人は未だ分からず。これこそが犯人が計画的だったか偶然だったかは分からないけど、広域捜査の盲点を上手く利用した事例なのよね。」
下條は、『さすが』と言う表情を浮かべたが、さほど驚きもしなかった。


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